福岡県こどもまんなかポータルサイト

「こどもの遊びを取り戻せ!PLAY FUKUOKAが取り組む未来を育む中間支援の取組」

具体的な活動内容

一般社団法人PLAY FUKUOKAは、こどもたちの「遊び」が大切にされる社会を目指し、中間支援団体として「遊びを伝える」「人を育てる」「場をつくる」という3つの柱で活動しています。

遊びを伝える」活動では、保護者や保育者に向けた外遊び講座や研修を実施し、こどもの主体性を尊重するプレイワークの考え方を伝えています。ミニブック制作・配布も行い、「遊びは学びの根っこ」であることを広く発信しています。

人を育てる」活動では、学生プレイワーカーの育成講座や、保育士・教員・放課後児童支援員向けの研修を実施し、実践と対話を通じて、こどもにとって安心できる大人とは何かを探りながら、人材を育てています。

場をつくる」活動では、福岡市内の多くの小学校で実施されている、こどもたちがランドセルを置いたまま校庭で自由に遊べる遊び場「わいわい広場」の方針策定や運営体制の構築(仕組みづくり)に貢献しています。さらに、障がいの有無に関わらず誰もが一緒に遊べるインクルーシブな遊び場や、病院や自然公園、学校施設などでの遊び場づくりに取り組んでいます。

取材に訪れた日は、「トーキョーコーヒー太宰府」が主催する「プレーワーカー養成講座」で、一般社団法人PLAY FUKUOKA代表の古賀彩子さんが講師を務めました。会場には、地域でこどもの遊び場を広げたいと願う保育士や保護者、学生らが集まり、座学と実践を通して「プレーパーク」について学びました。

午前の講義では、「遊びってなんだろう?」をテーマに、これまでの実践を交えたお話が展開されました。その中で古賀さんは、「大人がつい先回りしてやってあげるのではなく、こどもが主体的に“やってみたい”ことに挑戦できるきっかけを、大人が工夫することが大切です」と語り、参加者たちはうなずきながら熱心にメモを取っていました。

午後は森に移動し、かまどでの火起こしやそうめん流しなどの体験を通して、「安全な見守り方」や「大人が誘導しない関わり方」について実践的に学びました。古賀さんは「大人が“教える”のでも、“管理するように見張る”のでもなく、“一緒にいながら見守る”ことの大切さを体感してもらえたと思います」と振り返りました。

活動の背景

一般社団法人PLAY FUKUOKAの活動の背景には、「こどもが自由に外で遊ぶことが難しくなっている」という現代社会の課題があります。代表の古賀彩子さんは、地域から“こどもを見守る存在や場所”が消えつつあり、日常的な「人との出会い」や「偶然の体験」が失われていることに強い危機感を抱いてきました。

活動の原点は、20代の頃に働いていた京都の「プレイスクール協会」での無人島キャンプです。
トイレを掘るところから始まる自然体験のなかで、こどもたちが自分で考え、動き、自然と学び合う姿に感動し、「指示がなくても、自分たちで動く力を持っている。大人が手を出しすぎず見守ることの大切さを学びました」と古賀さんは語ります。

福岡に戻り、自らも母親となって子育てをする中で、「こどもが安心して外遊びできる場所が少ない」「こどもに関わる大人がいない」と痛感しました。そこで、「それなら自分たちで遊びの場をつくろう」と決意し、2004年に「福岡プレーパークの会」を立ち上げ、福岡県内7カ所でプレーパーク普及事業を始めました。2008年に学生プレイワーカー育成事業を開始し、そして2011年に福岡市で「乳幼児と大人のための外遊び講座」をスタートさせます。また、福岡市の小学校の校庭等を利用して遊び場をつくる「放課後等の遊び場づくり事業」(わいわい広場)」の取組に、委員として2009年から2023年まで関わってきました。

活動を続けるなかで、「遊びはこどもだけでなく、大人にとっても社会にとっても大切な営みである」という確信が強まり、2012年に団体名を「PLAY FUKUOKA」に改称し、2016年に法人化しました。【PLAY FOR GOOD.ないまと未来の社会​を。】を理念に、2022年からインクルーシブな遊び場づくりを始め、現在は、支援者の育成、制度づくり、行政・医療・教育機関・企業との連携など、地域を巻き込みながら多様なフィールドで活動の幅を広げています。

参加者の声

(参加者)
「今の保育現場では自分の価値観が通じずに悩んでいたけれど、今日の話を聞いて、自分のやりたい方向へ進んでいいのだと感じられました」

(学生プレイワーカー)
 「こどもに何かを教えるのではなく、ただ“いる”ことで十分だと気づきました」

(地域ボランティア)
「正解を与えるのではなく、こどもが自分で考える時間を待つ。そんな関わり方が新鮮でした」

(古賀さん)
「飯塚市で乳幼児の親子向けの講座を実施していた際に参加していた赤ちゃんが、20歳になって市の職員として再会しました。関わったこどもが成長して地域を支える側(市の職員)になっているのが嬉しいです」

これからのこと

今後は、異分野の専門家と連携しながら、支援者の支援や育成をさらに進め、誰もが安心して関われる遊びの場を地域に根づかせていくことを目指しています。こどもたちが自然に「やってみたい」と動き出せる環境づくりを、これからも丁寧に広げていきます。

「こどもまんなか社会」に向けて

古賀さんは、「特別なイベントよりも、何気ない日常に“遊び”があることが大切です」と語ります。
こどもが「やってみたい」と思ったときに自由に挑戦できる環境と、それをそっと見守る大人の存在が、こどもの育ちを支える土壌だと考えています。

また、「こどもを支える大人自身が孤立しないように、支援者同士がつながり、悩みを共有できる場が必要です。こどもを真ん中に置くと、大人同士がつながり直す。それが“こどもまんなか社会”だと思います」と古賀さんは語り、支援者を支援する仕組みづくりにも取り組んでいます。

“危ないから禁止する”のではなく、“どうすれば安全にできるか”を大人が共に考える姿勢が、こどもの自由と安心を両立させる——その信念を胸に、PLAY FUKUOKAはこれからも地域に“育ちの場”を広げ続けていきます。

PLAY FUKUOKA公式ホームページ

(取材日:2025年6月29日)

~大丈夫だよ!~こどもの不登校や行き渋りに悩む保護者の気持ちに共感し、寄り添う3つの居場所 

具体的な活動内容

「えがおの会」は、不登校をはじめとする子育ての悩みを抱える保護者を支援するため、2012年の4月に代表の杉浦さんが立ち上げました。
2013年から「omimiかふぇ」を始め、こどもが不登校になった経験を持つ方がサポーターとなり、様々な課題を抱える保護者に対し、安心して子育ての悩みを話すことができる場を提供しています。
他にも、不登校や発達障がい等の悩みを抱えるこどもと保護者が一緒にワークショップを楽しめる「えがおのたまり場」や、小学生から高校生までのこどもたちが自由に過ごせる「ハレハレ~hare*hale~子どもの居場所」など、多様な居場所づくり活動を展開しています。

活動は、参加する保護者の声に耳を傾けることから始まります。
代表の杉浦さんは、優しい言葉遣いと穏やかな笑顔で相槌を打ち、決して話を遮ったり否定したりすることなく、相談に耳を傾けます。「理解と共感が大切」と語り、「大丈夫!大丈夫!」という彼女の言葉は、深い安心感を与え、思わず涙する保護者の方も少なくありません。

杉浦さんは自身の経験を語ることで、保護者が新たな気づきを得られるよう寄り添います。
保護者やこどもがすぐに変わることは容易ではありません。しかし、対話を何度も積み重ねることで、親の行動や言葉の選び方が少しずつ変わり、それがこどもが心を開くきっかけへと繋がっています。
杉浦さんは、安心感と笑顔が生まれる居場所を作り続けています。

Omimi事業に参加された方に、ボードゲームを無料でレンタルしています。自宅での親子の会話やふれあいのきっかけになるだけではなく、返却の際には再びこの場所へ気軽に立ち寄れる機会を作っています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●omimiかふぇ
 春日市
 毎月第2月曜日 10時~12 時
 偶数月第4土曜日 10時~12 時
 毎月第1水曜日 19時~21 時
●えがおのたまり場
 大野城市
 奇数月第3日曜日10時~15時
●ハレハレ~hare*hale~子どもの居場所
 大野城市
 偶数月第3日曜日10時~12時
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

活動の背景

杉浦さんには、5人のお子さんがいますが、4番目のお子さんが高校1年生の冬休み明けから学校に行けなくなりました。
不登校になった当初、杉浦さんは自身の価値観を押し付けて、自分が正しいと信じる道へ導こうと懸命でした。しかし、娘の本心を初めて聞いた時、自分が正しいと思って発していた言葉や行動がこどもを追い詰めていたことに気づいたのです。
「気づきをくれたのは娘でした。娘のおかげで親としての在り方を根本から見直し、発する言葉、行動を変えることができたんです」と杉浦さんは振り返ります。

親が変われば、こどもも変わる!その実感を得た経験から、同じようにこどもの不登校に悩む保護者に寄り添い、自分の経験を伝えることによって、気づきを促す支援活動を続けています。

参加者の声

(サポーターの声)

この場に出会えたきっかけは、自分のこどもが不登校になり、えがおのたまり場に参加したことでした。
杉浦さんとの対話を重ねる中で、自分自身の生き方を見直すことができ、ものの見方や感じ方も変わりました。自分のこどもはもう大きくなりましたが、かつての自分と同じように悩んでいる方に、「私も大変だった」という共感や、経験から得た失敗や学びを伝えたいと思っています。
少しでも力になれたら・・そんな思いで活動に参加しています。

「こどもまんなか社会」に向けて

杉浦さんは、「私たちの活動は、直接、こどもと向き合うことではないので、こどもまんなかとは少し距離があるのかもしれません。しかし、こどものそばにいる親の言動がこどもにとって大きな影響を与えることは少なくはありません。
保護者との会話の中で、ご自身の言動に気づき、少しずつ変化していくきっかけを作っています。こどもに最も近い存在である親が変わることで、こどもの未来がよりよい方向に向かっていく。 それがこどもまんなか社会の一つの形になるのではないかと思っています」と語っています。

  

(リンク)
えがおの会 フェイスブック
https://www.facebook.com/egaonokai/?locale=ja_JP
えがおの会 インスタグラム
https://www.instagram.com/hogoshashien.egaonokai/

(取材日:2025年7月20日)

「実家より実家」のような温かさで、こどもたちの居場所を紡ぐ“じじっか”

具体的な活動内容

多世代が集う「居場所」の提供
金曜日は朝から夜まで、土曜日は午前10時から夜8時まで、日曜日は午前10時から午後2時まで開放されている「じじっか」は、こどもたちが外やゲームで遊んだり、勉強をしたり、小さな子の面倒を見たりと、みんなが自由に過ごせる居場所で、自然な形で多世代交流が生まれています。

食事支援と「ライフローズン」
週末の食事提供に加え、市の「支援対象児童等見守り強化事業」の補助を活用して55世帯に月2回のお弁当配達を行っています。また、働く親が忙しい平日にもこどもたちが食事に困らないよう、「ライフローズン(生活の愛情冷凍食品)」という1食分の冷凍食品を開発しており、温めるだけで栄養バランスの取れた食事ができるこの仕組みは、「週末のご飯の心配をしなくていい」と利用者からも好評です。

「リリボン」による価値創造
寄付で集まった古着を無料で配っていた当初、中村さんは「これって本当にこどもたちのためになっているのか?」と違和感を覚えました。お金を渡すわけでも、買ってあげるわけでもなく、自分の手で得られる仕組みはないか──。

そうして生まれたのが、「リリボン」です。古着や布の端切れを2cm幅に切ってねじり、こどもたちがそれを1メートル編むことで、食材や衣類と交換できる仕組みを構築しました。労働の対価として“自分で手に入れる”体験は、こどもたちに役割と誇りを育みます。
この取り組みは今では、高齢者施設の活動や、障がいのある方の体験プログラムとしても広がりを見せています。

学習支援
ここでは、無料塾や宿題指導、英検対策などを実施しています。土曜日には元塾の先生が宿題を教え、木曜日にはオンライン授業で英語や数学を約1時間教えています。

「プラスアルファ就労」という新しい働き方
基本的な生活費以外の「お金がないからできないこと」を可能にするため、じじっかでの生活の一部を仕事と融合する仕組みづくりを構築しています。

例えば、こどもが野球を習いたいと思っていても、月謝が家計の負担となり諦めざるを得ない家庭に対し、じじっかでの仕事の一部を行ってもらうことで、クラブチームにumau.から直接月謝を支払い、こどもが野球をできる環境を作っています。

こどもたちが「お金がないからといって諦める必要ないんだ」と夢を持ち続けられるような機会を提供しています。

活動の背景

代表の中村みち子さんは、自身も1歳と3歳のこどもを抱えて離婚し、母子家庭として子育てをしてきました。「働いても働いてもお金がなかった」「人と話すのがとにかく嫌だった」「頼ったら負けみたいな気持ちがあった」と振り返る中村さんは、「大家族に憧れて生きてきた」と語ります。

そんな中村さんが「一人じゃ子育てできなかった」「ひとり親よりふたり親より7人親みたいな環境にかなり助けられた」という経験から、2014年に母子家庭グループを結成しました。みんなで花火やバーベキューを楽しんだ時間が、「誰かと一緒ならやれる、自分が変われる」という実感につながったと言います。そして、「実家より実家」のような拠点をつくりたいという思いから活動が広がり、2020年、遂に「じじっか」をオープンさせます。

「自分一人で頑張るのが正義って思っていた当時の自分に、『一人じゃないんだよって言いたい』」と中村さんは語ります。今では、誰かの話を聞き、時には運営と利用者の間に立って調整する「みんなのお母さん」や「相談役」として、じじっかに来るこどもたちが、親以外の多様な価値観に触れられる環境づくりに情熱を注いでいます。

参加者の声

利用者のお母さん/5年前から利用)
「週末のご飯の心配をしなくていい。誰でもウェルカムで、一回関わったら排除しないというこのスタイルが素晴らしい。元々人嫌いだったけど、ここに来て人と接することが増えて、人の気持ちが分かるようになりました。体調も良くなったし、家計の見直しもできて、本当にここに来て余裕ができた。長女からも『ママがじじっかに来ていい方向に変わったね』って言われるようになりました」

(中学2年生の女の子)
「面倒見が良くなったって言われるのがすごく嬉しいです。普段はゲームしたり、勉強したりしていて、『わたしと僕の夢』の先生に英検も教えてもらっています。リリボンを編むのも楽しいです」

これからのこと

現在、家庭に居場所がないこどもが住むことができるシェアハウス※1の開設を進めています。高校生たちも参加するDIYワークショップを通じて、こどもたち自身が未来の居場所を手作りしています。

また、来年度にはじじっかの1階にミシン工房、草木染め工房、パソコン工房の3つの工房を設置し、「プラスアルファ就労」の場をさらに拡充する予定です。リリボンについては、企業のデザイナーと協力して商品化を進めており、活動の持続可能性も追求しています。

※1 未成年の方は親の同意が必要となります。

「こどもまんなか社会」に向けて

中村さんは、「こどもたちが『お金がないから無理』と諦めるのではなく、『どうすればできるか』を一緒に考えられる場所でありたいと思います」と語ります。

希望を持てない環境で育つこどもたちが、自分を責めることなく、親以外の価値観に触れる機会を得ることで、未来は大きく変わると信じています。

一般社団法人umau.

(取材日:2025年6月28日)

こどもの“やってみたい”を応援する――地域で育つこどもたちの遊ぶ環境を守る

具体的な活動内容

「子ども支援ネットワーク With Wind」は、「まちじゅうを子どもの遊び場に」という理念のもと、2012年からプレーパーク活動を本格的に開始し、現在も地域に根差した活動を継続しています。
令和6年度も、プレーパークを年間183日実施し、3900人以上のこどもたちが参加しました。

毎週2~3日開催している「子どもプレーパーク」のほかにも、「学校プレーパーク」や「放課後プレーパーク」、「出張プレーパーク」、中高生の居場所「Risus Munakata!(リーゾスむなかた!)」など、多様な拠点を展開し、地域に少しずつ、こどもたちが安心して過ごせる土壌を広げています。

また、福岡県内で外遊びの環境を豊かにしていくため、「福岡プレーパーク連絡協議会」を仲間と共に立ち上げ事務局を担当しています。外遊びの重要性を啓発する活動や、県内各地の団体がつながり、知識や経験を情報共有するネットワークを築いています。「福岡県の60市町村それぞれに、1つずつプレーパークがあったらいいですね」と藤原さんは語っています。

取材当日は、With Windの総会が青空の下、芝生の上で開催されました。輪になって座るのは、これまで関わってきた大人、若者、そしてこどもたち。まず「こどもの声を聞こう!」の時間が設けられ、こどもたちは「こんな遊びがしたい」「もっとこうだったらいいな」と自由に発言し、大人たちは真剣に耳を傾けていました。With Windは、こうしたこどもの声を受け止める場づくりを日常的に大切にしています。

午後からはプレーパークが始まりました。ロープ、水、木材、絵具などを手にしたこどもたちは、興味のままに遊びに夢中になり、ときにムカデに大騒ぎする姿も見られました。途中、土砂降りの雨が降りましたが、こどもたちは足元の水たまりに落ち葉をかぶせて歩道を作ったり、濡れた素材を工夫して使ったりと、雨さえも「遊び」に変えていきました。

「こういう時こそ、わくわくする工夫ができるんです。大人の工夫もこどもたちは見ているんですよ」と、藤原さんは笑顔で語ります。

遊びと暮らしがつながる時間は、夕方まで穏やかに続きました。

活動の背景

代表の藤原浩美さんは、かつて看護師として小児病棟で勤務していました。あるとき、安静が必要にもかかわらず「遊びたい」と笑顔を見せるこどもと出会い、その姿に衝撃を受けたといいます。遊べたことで輝くような表情を見せるこどもたちに、「それが命を支えているのだと感じた」と語ります。病院という制約の中でも、こどもの“遊びたい”という本能は失われておらず、むしろそれが生きる力になっていることを実感した体験が、現在の活動の原点になっています。

その後、自身が母親となり、地域での子育てを通して「もっとつながりたい」「一人で抱えないでほしい」という思いが募り、1990年に仲間とともに子育て支援グループを立ち上げました。親同士が支え合える場づくりを進める中で、安心して自由に思いきり遊べる場所の少なさに課題を感じるようになりました。

こうした気づきから、2008年には「こどもの遊びに寄り添う場」として、プレーパークを本格的にスタートさせました。以来、行政や地域と連携しながら、こどもたちのための居場所を少しずつ広げてきました。藤原さんは、「こどもは“場所”があるだけでは安心できません。そばにいてくれる大人がどう関わるか。信じてくれる大人がいるからこそ、心を開いて遊べるのだと思います」と語っています。

With Windは、こどもが安心して自由に遊び、自ら考えて挑戦できる「余白」を地域の中に守り続け、遊びを通して育まれる「生きる力」を、まち全体で支える仕組みづくりも積極的に働きかけています。

参加者の声

(高校生/総会当日司会進行役)
「6年前からプレーパークに通っています。今はこうして関わる立場になっていて不思議な気持ちです。これからも“やってみたい”を応援できる場所であってほしいと思います」

(大学生/元利用者)
「小学生のときにここで思いっきり遊んだ経験が、今の自分の土台になっています。火や刃物、自然の中での遊びなど、普通なら制限されることも、ここでは信じて任せてもらえた。今は、次の世代のこどもたちを支える側に回りたいと思っています」

(保護者/30代)
「家ではつい“ダメ!”と言いがちだけど、ここでは“どうしたいの?”と聞いてくれる。こどもがのびのびしていて、私も学ばせてもらっています」

(参加した小学生)
「今日は絵の具をいっぱい使ってペタペタしたよ。家では服が汚れたら怒られるけど、ここでは怒られないからうれしい!」

(スタッフ)
「失敗しても大丈夫と思える雰囲気を作るのが、私たちの役割。自分もこどもの頃にこういう場があったらよかったなと思います」

これからのこと

With Windは今後、学校や地域との連携をさらに深めながら、より多くのこどもたちが安心して過ごせる居場所を広げていきます。特に、こどもの遊びに関わる大人を育てる「プレイワーカー」の育成にも力を入れていきます。また、自由にのびのびと自分らしくいられる環境の実現を目指しています。
公園や学校だけでなく、商店街や駅前、家庭の中にも「やってみたい」を受け止める空気が流れている――そんな社会を、少しずつ、けれど確実に目指しています。

「こどもまんなか社会」に向けて

「この社会を、よりよい形でこどもたちに手渡したい。そう思う大人が一人でも増えてほしい」と藤原さんは願っています。「こどもが「やってみたい」と言った時には、すぐに「ダメ」と止めず、「“大丈夫、やってみりぃ”と声をかけてほしい。こどもは、信じてくれる大人がそばにいるからこそ、安心して遊べるし、自分を出せるんだと思います」と語ってくれました。

子ども支援ネットワーク With Wind

(取材日:2025年6月26日)

「みんなが集まれるコミュニティの場」~こども食堂から地域食堂へ~

具体的な活動内容

毎月第三土曜日の16時から開催される「キッチン小春ちゃん」では、偶数月のフードパントリーと奇数月の会食イベントを展開しています。夏休みなどの長期休暇中には、地域食堂も開催しています。さらに、学びを取り入れた特別企画も実施しており、香春町青少年育成町民会議と共催した「スーパー巻き寿司大会」では、こどもたちと地域の人々が一体となって長い巻き寿司を作り上げ、会場が大いに盛り上がったそうです。



取材当日は、「親子で楽しむマナー講座」と題し、創立メンバーの竹原裕美さんを講師に迎えて特別企画が開催されました。15時30分頃、会場の香春町地域福祉センター香泉荘には、調理スタッフ10名を含む約30名のボランティアが集結し、着々と準備を進めていきました。17時近くになると、親子連れや高齢者など約70名の参加者が来場しました。

「親子で楽しむマナー講座」では、カレーライス、豚の角煮、唐揚げ、デザートのケーキを味わいながら、食事の大切さと作法を学びました。竹原講師の「今日は特別な日。みんなで楽しく食事のマナーを学びましょう」という言葉に、こどもたちは目を輝かせて聞き入っていました。会場のあちこちでは、「皿を汚さないように食べるのは難しいね」「ケーキの包み紙、上手にはがせたよ」といった温かな親子の会話が弾みます。小さなこどもたちから大人まで、真剣な表情で挑戦する姿が微笑ましく、印象的でした。参加者は、帰り際、用意されたおみやげを笑顔で受け取り、「また来たい」という声を残して会場を後にしました。

こども食堂の運営は、こどもは無料、大人は任意の寄付制の参加費と、行政からの補助金、企業からの寄付で賄われ、地域に根差した温かな取り組みとして、着実に発展を続けています。

活動の背景

社会福祉協議会に寄せられる子育ての相談の深刻さに心を痛めた中山敏幸さんと元市役所職員の丸田宏幸さんは、「地域全体で子育てを支えたい」という強い思いから、7年前、教育関係者やスクールソーシャルワーカーなど、志を同じくする約10名と共に「キッチン小春ちゃん」を立ち上げました。

世界各国を飛び回った商社マン時代の経験から、地域のつながりの大切さを痛感していた中山代表は、「人口1万人を切る香春町だからこそ、地域の絆が何より大切です。生活環境が異なっても、ここに来るこどもたち全員が楽しく過ごせる場所にしたい」と熱い思いを語ります。

こども食堂として始まったこの取り組みは、今ではこどもから高齢者まで、誰もが気軽に立ち寄れる温かな地域の居場所として、着実に根付いています。

参加者の声

(参加したこども)
「楽しかった!お腹いっぱいになった」

「おみやげがうれしい!」

(保護者)
「友達に誘われて初めて参加しました。こんな豪華な食事でびっくりしました!マナーのお話がためになりました」

「保育園からチラシをもらって、来られる時は結構来ていますね。最初はパントリーでした。こどもも楽しみにしていますし、香泉荘で開催されているから参加しやすいです」

(調理ボランティア)
「月に1~2回参加していますが、楽しいですよ!」

(中山代表)
「地域の方から“なにか手伝いたい。ボランティアをしたいけど、チャンスがないからできない。だから、こういうチャンスがあれば手伝えるから嬉しい”という声をいただきます」

これからのこと

こども食堂としての活動に加え、高齢者も含めた「地域食堂」としての展開を始めています。中山代表は、「こどもだけじゃなくて、大人も集まる場所がなにかできないかな」という地域の声に応え、すでに地域食堂を3回開催。これからは、こどもも大人も気軽に集まれる第3の居場所づくりを目指し、防災をテーマにした企画なども検討しながら、世代を超えた交流の場として、さらなる発展を計画しています。

(取材日:2025年1月15日)

安心して出産に臨むためのサポート – 飯塚市陣痛タクシー事業の取り組み

具体的な活動内容

少子化が進む日本で、特に地方部では出産時の移動手段確保が課題となっています。飯塚市はこの問題に向き合い、「陣痛タクシー事業」を立ち上げました。

「陣痛タクシー事業」は住民に事前に緊急連絡先やかかりつけ医の情報を登録してもらうことから始まります。陣痛タクシーには飯塚市から無償で提供された防水シートや給水マット、消臭スプレーを完備し、万一の事態にも対応できる体制を整えています。ドライバーは妊婦体験を含む専門研修を受講し、妊婦さんの気持ちに寄り添ったきめ細かなサポートを提供できるように実践知識も得ています。

また、新生堂薬局からは陣痛時の妊婦に対する物品の収納バッグも飯塚市へ寄贈されています。協力体制の構築や登録後の連絡体制に苦心しながらも、行政とタクシー会社は連携を強化し、夜間対応も徐々に拡充するなど、着実に前進を続けています。

体験者の声

(ドライバー)
「妊婦の大切な瞬間に寄り添えることにやりがいを感じます」

(利用者)
「事前登録のおかげで安心して利用できました」

(行政担当者)  
「共働き世帯や核家族が増えるなか、妊婦さんからの問い合わせも多く安心して出産・子育てができるまちを目指して子育て支援の充実を図っていきます」

これからのこと

「陣痛タクシー事業」は、地域社会における妊婦支援のモデルケースとして注目されています。飯塚市は協力事業者の拡大を目指し、より利用しやすい環境づくりを計画しています。グリーンベルトタクシーの野上社長は、「安心して出産できる社会を目指し、地域の活性化にもつなげたい」と語り、地域全体で妊婦をサポートする体制の構築に意欲を見せています。

 

飯塚市ホームページ 陣痛タクシー事業

https://www.city.iizuka.lg.jp/boshihoken/jintsutaxi.html

(取材日:2024年10月11日)

地域全体でこどもを育てる社会の実現を目指す「こどもはこのまちの未来だ!宣言」

具体的な取り組み内容

2024年5月、飯塚JCは、「こどもはこのまちの未来だ!宣言」キックオフイベントを開催しました。このイベントには、こども家庭庁をはじめとする多くの関係者が参加し、こども中心の社会づくりを目指した方向性が共有されました。宣言企業・団体等は約50社(2025.3現在)で、それぞれの企業・団体で宣言した内容の実現に向けて取り組みを進めています。
たとえば「ゆめタウン飯塚」では、全国のゆめタウン店舗で初となる子育て世代を支援する「ゆとりレーン」を設置しています。また、タクシー会社と飯塚市との連携による妊婦向け「陣痛タクシー」の取り組みも進行中で利用者も増えています。この他、地元のラーメン屋がこども用の箸を導入するなど、活動は地域全体に広がり、連携体制が強化されています。

活動背景

活動の背景には、「こどもたちの意見が地域の改善につながるという思いがある」と専務理事の小林さんは語ります。自身も小学生2人の母として、子育ての当事者でもあり、子育て世代への配慮や理解が不足しているなど、少子化や地域活性化への課題を感じていました。そんな中、飯塚JCでは、この宣言活動のほか、こどもたちの意見を地域に反映させるための「ビジョナリーシティこども会議」を実施することになります。
例えば、こども会議で寄せられた「バス停が古く、お年寄りが困っている」という声や、「公園でボール遊びができないので、もっと自由に遊べる場所が欲しい」など、こどもたちから寄せられた意見は大人が気付かないことばかりです。その声や提案を企業や自治体に届け、力を合わせ具体的な行動に反映しています。

参加者の声

(小林奈々専務理事)
「こどもたちの声は本当に貴重です。特に、公共施設や交通機関に対する改善要望は、地域全体で取り組むべき課題。例えば、バス会社や行政とも連携して、こうした意見を具体的に反映させる仕組みを作ろうとしています。地域全体が一体となって、こどもたちのための社会を作るという理念や、小さな行動が大きな変化を生むと実感しています」

(栗原一喜常務理事)
「青年会議所の使命は、地域活性化とリーダー育成です。このプロジェクトを通じ、多くのリーダーが育ち、地域に貢献している姿を見るのは嬉しいことです」

宣言企業からは、「少子化の時代、このような取り組みが大事。継続を目指していきたい」という声が上がっています。

(※役職は2024年時点の役職です)

これからのこと

飯塚JCではこの取り組みがモデルケースとして他地域でも展開されていくことを期待しています。今後も飯塚JCが掲げた「TRT・4・VISION(5カ年ビジョン)」の実現に向け、多様なパートナーシップを強化し、様々な活動を通じて地域社会の発展に寄与していきたいと考えています。

「こどもまんなか社会」に向けて

飯塚JCは、「こどもまんなか社会」の実現に向けて、「こどもを育てる仕組み」「地域間の連携」「こどもたちの意見を尊重する文化」を柱に、地域で連携し、こどもを安心して育てられる環境づくりを進めていく方向です。

 

(一社)飯塚青年会議所ホームページ
http://www.iizuka-jc.com/

(取材日:2024年9月13日/更新日:2025年3月19日)

こどもが創る、地域のつながり。こどもの台所プロジェクト

具体的な活動内容

「こどもの台所」の最大の特徴は、こどもたちが主体となり、料理体験を通じて自立性を育てることです。約10名の地域ボランティアと一緒に簡単な家庭料理を作りながら、食材の使い方や基本的な料理スキルを学びます。
取材の日は、クラウドファンディングの寄付によって提供されたはかた地鶏と県産米を使い、地域の特産品についても知識を深めました。こどもたちは年齢に応じて、おかず班、ごはん班、味噌汁班に分かれ、チキンのパン粉焼き、ナポリタン、味噌汁といったメニューを調理していきます。味噌汁はひとりずつ自分が好きな具材を入れ個性豊かな一品に仕上げ、お米もひとりずつ洗米し炊飯ジャーで炊きました。異なる学校から集まったこどもたちは、料理をする力を身につけるだけでなく、コミュニケーションをとりながら一緒に作り上げる体験をすることで、お互いを尊重する対人スキルも育まれていきます。
「こどもたちが家で安全に料理を作れるようになることこそ、私たちの支援の最終目標です。そのため、実際の家庭を想定し、5人前程度の料理を作る練習をしています」と代表の石田さん。「こどもの台所」ならではのこだわりが、活動の中に息づいています。

活動の背景

この活動の起点は、10年前の設立時に遡ります。「地域社会に住む大人たちとの交流が少ないこどもたちのために、食育を通じた育成の場を作りたい」という代表の石田恭子さんの熱い思いから、設立から2年後に「こどもの台所」をスタートさせます。石田さんは「大人が育てるだけではなく、こどもが大人を救う社会を作りたい、こどもたちが主体的に関わり、知識を共有する場を増やしたい」と話します。こどもたちの言動や行動をひとりの人間として認め、相互に救われるスタイルを大切にしたいと考えています。
石田さんの情熱は地域の農家や企業の心を動かし、寄付を受ける仕組みを作り上げています。そして、経済的な貧困に関わらず、「見えない貧困」に目を向ける活動の必要性を訴えています。

参加者の声

(調理したこども)
「自分の手で料理を作れたことは嬉しい体験でした」
「他のこどもと一緒に作業をするのが楽しかった」

(調理ボランティア)
「毎回、私たちも楽しみにしています」
「こどもたちは、料理が出来上がったときや配膳のときもよく動いてくれるんですよ」

(地域の人)
「めちゃめちゃ美味しいです」
「家でも料理や食事の支度を進んでやってくれるようになって助かっています」

これからのこと

「こどもの台所」とは別に、月1回、振る舞いに重点を置いた「おせっかい食堂」も運営している石田さん。「私たちのこども食堂だと1食分しか提供できないので、地域全体をこども食堂化する構想を描いています」と話します。地域の食堂が運営に参加するという大規模ネットワークの実現を目指し、現在、12店舗が参加予定です。要である資金を募り、地域食堂に分配される仕組みが制度化されるように動いていくそうです。

「こどもまんなか社会」に向けて

石田さんは、こどもまんなか社会では、こどもたちの行動や言動を認めることが大切だと考えています。「大人がこどもたちを一方的に支援するのではなく、こどもたち自身が大人を助ける機会を作ることで、自己肯定感も育まれ、結果として地域全体が支え合う強いコミュニティができるのでは」と話してくれました。

 

子育て応援隊にじいろ
インスタグラム
https://www.instagram.com/nijiiro.childcare/

ホームページ
https://www.2jiiro-7irolabo.com/

(取材日:2024年12月15日/更新:2025年3月5日)

「思い出のランドセル、新たな笑顔へ」~福岡発、広がるこどもたちへの希望のバトン~

具体的な活動内容

心をつなぐランドセルの架け橋

イベントでは、こどもたちが展示された中から自分だけの「運命のランドセル」を選ぶ特別な時間や、通学路体験、工作・ゲーム体験などの企画で、こどもたちの思い出づくりを支援します。さらに、学生と地元企業が心を込めて作ったオリジナル化粧箱に、こどもたち自身の手で大切にランドセルを収めて持ち帰ります。会場では同時に新たなランドセルの寄付も受け付けており、昨年は約650個もの温かい善意が集まるなど、循環型の支援の輪が広がっています。

活動の背景

「こどもの未来に希望を持たせることができないだろうか…」7年前、一人の母親から寄せられた、こどもの未来への切実な想いに、NPO法人次世代のチカラFUKUOKAの新村優理事長が深く心を動かされました。こどもたちの未来への可能性を広げ、すべてのこどもたちに平等な学びの機会を提供したいという思いから、活動は始まりました。
その後、九州産業大学造形短期大学部の森下慎也先生との出会いにより、学生のアイディアを盛り込むことで、活動は大きく広がりました。
この取り組みは単なる物の再利用ではなく、こどもたちの可能性を育む、温かな社会のつながりを創造する取り組みに発展しています。

参加者の声

(こどもたちとその家族)
「こんなに綺麗なランドセルをいただけて、本当に感謝しています。こどもが喜ぶ姿を見て、私まで嬉しくなりました」

(寄付者の声)
「大切に使ったランドセルが、新しい持ち主と出会えることが何より嬉しいです」

(プロジェクトリーダー:九州産業大学造形短期大学部 研究生 石田賀琳さん)
「参加者の方々からの『ありがとう』の言葉が、何よりの励みになりました。去年叶えられなかった北九州での活動も実現でき、感慨深いです」

(協力企業)
「地域のこどもたちの笑顔のために、私たちができることを実行する。それが企業としての誇りです」

これからのこと

現在、活動は、福岡市から飛び出し、久留米市、北九州市へと着実に広がっています。このプロジェクトは、地域の企業や団体との連携を深めながら、単なるランドセルの受け渡しを超えて、地域全体でこどもたちの未来を支える大きな取り組みへと成長しています。

「こどもまんなか社会」に向けて

「こどもたちの声に真摯に耳を傾け、一人の人間として尊重し合える社会。それが私たちの目指す『こどもまんなか社会』です。このイベントを通じて、こどもたちが安心して夢を育める環境づくりを、地域全体で進めていきたい」と森下先生は、語ってくれました。

 

九州産業大学造形短期大学部ホームページ
https://www.zokei.kyusan-u.ac.jp/

NPO法人次世代のチカラFUKUOKAホームページ
http://jisedainochikara.jp/

(取材日:2025年1月18日)

「みんなが笑顔になれるまちづくりを目指して」子ども食堂☆きらきら清水(きよみず)

具体的な活動内容

「子ども食堂☆きらきら清水」は、毎月第一または第二土曜日にこどもたちと保護者が参加できる食堂です。10名の地域ボランティアが作る栄養バランスの取れた手作りの食事は参加者にも大人気です。費用はこども100円、大人300円。中学生や高校生、近隣の大学生が見守り役としてボランティアで参加し、こどもが自由に楽しむ「遊び」時間を支えています。また、料理教室やクリスマス会などのイベントもあり、多世代交流を実現しています。さらに、無料の「スマイル学習塾」では、大学生が算数や国語の学習指導を行い、こどもたちの成長を支えています。
月2回のフードパントリー活動では、企業や個人から寄付された食材を活用し、家庭に無料で配布。パントリーは事前申し込み制で、多くの家庭から好評を得ています。

活動の背景

NPO法人Smileネットワーク北九州を立ち上げた理事長の山縣郁子さんは、自らの子育て経験から、子育ての孤独を感じている親やこどもたちに「安心できる居場所」を提供したいと思い、こども食堂を始めました。地域の太鼓保存会メンバーと協力し、こどもたちに太鼓を教える場を作ったことが参加者を呼ぶきっかけとなり、地域全体でこどもを見守り支える仕組みがスタートしました。幼児から高校生、さらに大学生や地域の大人まで、多世代が交流する場となることで、こどもたちが年上のロールモデルに触れ、お互いに学び合う点も特徴の一つになっています。

参加者の声

(小学4年生ほか参加したこども)
「美味しいごはんが嬉しいです。友達と来るのが楽しみ!」
「お兄ちゃんやお姉ちゃんと遊ぶのが楽しい!」

(保護者)
「月に一度のこの場所で、親子で楽しい時間を過ごせてありがたいです」

(大学生ボランティア)
「毎回お楽しみイベントの準備はワクワクします。妹がひとりしかいない私にとって、小さいこどもたちと触れ合う時間は心が癒されます」

(ボランティア)
「地域のこどもたちの成長を見守るのにやりがいを感じます」

これからのこと

NPO法人Smileネットワーク北九州では、こども食堂やフードパントリーを通じた支援を継続しながら、さらなるスマイル学習塾の拡大や、新しい場所でフードパントリーを展開する計画など、こどもたち自身が主体的に活動する企画も進めています。
さらに、大学生を対象にした「自炊塾」も少しずつ動き出しています。大学生や高校生が活躍できる場づくりや、若者が地域に貢献する機会を増やしたいと考えています。
山縣さんは、「家庭環境や経済的な事情で学びを得られないこどもたちに、継続的な学習支援を届けたい」とも話しています。

(学生ボランティアのみなさんと中央が理事長の山縣さん)

「こどもまんなか社会」に向けて

山縣さんは、「こども食堂はこどもたちが安心して過ごせる地域の居場所になっています。そして、こどもをまんなかに、学生の学びの場や大人たちの生きがいにもつながっています。核家族が増える中、みんなで見守り、交流することが、こどもたちの成長や未来にも大きく影響することと思います。一緒に笑顔あふれる地域をつくりましょう!」と笑顔で語ってくれました。

 

NPO法人Smileネットワーク九州ホームページ
https://www4.hp-ez.com/hp/kirakirakiyomizu/

(取材日:2024年12月14日)

ページトップへ