具体的な活動内容
毎月第三土曜日の16時から開催される「キッチン小春ちゃん」では、偶数月のフードパントリーと奇数月の会食イベントを展開しています。夏休みなどの長期休暇中には、地域食堂も開催しています。さらに、学びを取り入れた特別企画も実施しており、香春町青少年育成町民会議と共催した「スーパー巻き寿司大会」では、こどもたちと地域の人々が一体となって長い巻き寿司を作り上げ、会場が大いに盛り上がったそうです。
取材当日は、「親子で楽しむマナー講座」と題し、創立メンバーの竹原裕美さんを講師に迎えて特別企画が開催されました。15時30分頃、会場の香春町地域福祉センター香泉荘には、調理スタッフ10名を含む約30名のボランティアが集結し、着々と準備を進めていきました。17時近くになると、親子連れや高齢者など約70名の参加者が来場しました。
「親子で楽しむマナー講座」では、カレーライス、豚の角煮、唐揚げ、デザートのケーキを味わいながら、食事の大切さと作法を学びました。竹原講師の「今日は特別な日。みんなで楽しく食事のマナーを学びましょう」という言葉に、こどもたちは目を輝かせて聞き入っていました。会場のあちこちでは、「皿を汚さないように食べるのは難しいね」「ケーキの包み紙、上手にはがせたよ」といった温かな親子の会話が弾みます。小さなこどもたちから大人まで、真剣な表情で挑戦する姿が微笑ましく、印象的でした。参加者は、帰り際、用意されたおみやげを笑顔で受け取り、「また来たい」という声を残して会場を後にしました。
こども食堂の運営は、こどもは無料、大人は任意の寄付制の参加費と、行政からの補助金、企業からの寄付で賄われ、地域に根差した温かな取り組みとして、着実に発展を続けています。
活動の背景
社会福祉協議会に寄せられる子育ての相談の深刻さに心を痛めた中山敏幸さんと元市役所職員の丸田宏幸さんは、「地域全体で子育てを支えたい」という強い思いから、7年前、教育関係者やスクールソーシャルワーカーなど、志を同じくする約10名と共に「キッチン小春ちゃん」を立ち上げました。
世界各国を飛び回った商社マン時代の経験から、地域のつながりの大切さを痛感していた中山代表は、「人口1万人を切る香春町だからこそ、地域の絆が何より大切です。生活環境が異なっても、ここに来るこどもたち全員が楽しく過ごせる場所にしたい」と熱い思いを語ります。
こども食堂として始まったこの取り組みは、今ではこどもから高齢者まで、誰もが気軽に立ち寄れる温かな地域の居場所として、着実に根付いています。
参加者の声
(参加したこども)
「楽しかった!お腹いっぱいになった」
「おみやげがうれしい!」
(保護者)
「友達に誘われて初めて参加しました。こんな豪華な食事でびっくりしました!マナーのお話がためになりました」
「保育園からチラシをもらって、来られる時は結構来ていますね。最初はパントリーでした。こどもも楽しみにしていますし、香泉荘で開催されているから参加しやすいです」
(調理ボランティア)
「月に1~2回参加していますが、楽しいですよ!」
(中山代表)
「地域の方から“なにか手伝いたい。ボランティアをしたいけど、チャンスがないからできない。だから、こういうチャンスがあれば手伝えるから嬉しい”という声をいただきます」
これからのこと
こども食堂としての活動に加え、高齢者も含めた「地域食堂」としての展開を始めています。中山代表は、「こどもだけじゃなくて、大人も集まる場所がなにかできないかな」という地域の声に応え、すでに地域食堂を3回開催。これからは、こどもも大人も気軽に集まれる第3の居場所づくりを目指し、防災をテーマにした企画なども検討しながら、世代を超えた交流の場として、さらなる発展を計画しています。
(取材日:2025年1月15日)
具体的な活動内容
少子化が進む日本で、特に地方部では出産時の移動手段確保が課題となっています。飯塚市はこの問題に向き合い、「陣痛タクシー事業」を立ち上げました。
「陣痛タクシー事業」は住民に事前に緊急連絡先やかかりつけ医の情報を登録してもらうことから始まります。陣痛タクシーには飯塚市から無償で提供された防水シートや給水マット、消臭スプレーを完備し、万一の事態にも対応できる体制を整えています。ドライバーは妊婦体験を含む専門研修を受講し、妊婦さんの気持ちに寄り添ったきめ細かなサポートを提供できるように実践知識も得ています。
また、新生堂薬局からは陣痛時の妊婦に対する物品の収納バッグも飯塚市へ寄贈されています。協力体制の構築や登録後の連絡体制に苦心しながらも、行政とタクシー会社は連携を強化し、夜間対応も徐々に拡充するなど、着実に前進を続けています。
体験者の声
(ドライバー)
「妊婦の大切な瞬間に寄り添えることにやりがいを感じます」
(利用者)
「事前登録のおかげで安心して利用できました」
(行政担当者)
「共働き世帯や核家族が増えるなか、妊婦さんからの問い合わせも多く安心して出産・子育てができるまちを目指して子育て支援の充実を図っていきます」
これからのこと
「陣痛タクシー事業」は、地域社会における妊婦支援のモデルケースとして注目されています。飯塚市は協力事業者の拡大を目指し、より利用しやすい環境づくりを計画しています。グリーンベルトタクシーの野上社長は、「安心して出産できる社会を目指し、地域の活性化にもつなげたい」と語り、地域全体で妊婦をサポートする体制の構築に意欲を見せています。
飯塚市ホームページ 陣痛タクシー事業
https://www.city.iizuka.lg.jp/boshihoken/jintsutaxi.html
(取材日:2024年10月11日)
具体的な取り組み内容
2024年5月、飯塚JCは、「こどもはこのまちの未来だ!宣言」キックオフイベントを開催しました。このイベントには、こども家庭庁をはじめとする多くの関係者が参加し、こども中心の社会づくりを目指した方向性が共有されました。宣言企業・団体等は約50社(2025.3現在)で、それぞれの企業・団体で宣言した内容の実現に向けて取り組みを進めています。
たとえば「ゆめタウン飯塚」では、全国のゆめタウン店舗で初となる子育て世代を支援する「ゆとりレーン」を設置しています。また、タクシー会社と飯塚市との連携による妊婦向け「陣痛タクシー」の取り組みも進行中で利用者も増えています。この他、地元のラーメン屋がこども用の箸を導入するなど、活動は地域全体に広がり、連携体制が強化されています。
活動背景
活動の背景には、「こどもたちの意見が地域の改善につながるという思いがある」と専務理事の小林さんは語ります。自身も小学生2人の母として、子育ての当事者でもあり、子育て世代への配慮や理解が不足しているなど、少子化や地域活性化への課題を感じていました。そんな中、飯塚JCでは、この宣言活動のほか、こどもたちの意見を地域に反映させるための「ビジョナリーシティこども会議」を実施することになります。
例えば、こども会議で寄せられた「バス停が古く、お年寄りが困っている」という声や、「公園でボール遊びができないので、もっと自由に遊べる場所が欲しい」など、こどもたちから寄せられた意見は大人が気付かないことばかりです。その声や提案を企業や自治体に届け、力を合わせ具体的な行動に反映しています。
参加者の声
(小林奈々専務理事)
「こどもたちの声は本当に貴重です。特に、公共施設や交通機関に対する改善要望は、地域全体で取り組むべき課題。例えば、バス会社や行政とも連携して、こうした意見を具体的に反映させる仕組みを作ろうとしています。地域全体が一体となって、こどもたちのための社会を作るという理念や、小さな行動が大きな変化を生むと実感しています」
(栗原一喜常務理事)
「青年会議所の使命は、地域活性化とリーダー育成です。このプロジェクトを通じ、多くのリーダーが育ち、地域に貢献している姿を見るのは嬉しいことです」
宣言企業からは、「少子化の時代、このような取り組みが大事。継続を目指していきたい」という声が上がっています。
(※役職は2024年時点の役職です)
これからのこと
飯塚JCではこの取り組みがモデルケースとして他地域でも展開されていくことを期待しています。今後も飯塚JCが掲げた「TRT・4・VISION(5カ年ビジョン)」の実現に向け、多様なパートナーシップを強化し、様々な活動を通じて地域社会の発展に寄与していきたいと考えています。
「こどもまんなか社会」に向けて
飯塚JCは、「こどもまんなか社会」の実現に向けて、「こどもを育てる仕組み」「地域間の連携」「こどもたちの意見を尊重する文化」を柱に、地域で連携し、こどもを安心して育てられる環境づくりを進めていく方向です。
(一社)飯塚青年会議所ホームページ
http://www.iizuka-jc.com/
(取材日:2024年9月13日/更新日:2025年3月19日)
具体的な活動内容
「こどもの台所」の最大の特徴は、こどもたちが主体となり、料理体験を通じて自立性を育てることです。約10名の地域ボランティアと一緒に簡単な家庭料理を作りながら、食材の使い方や基本的な料理スキルを学びます。
取材の日は、クラウドファンディングの寄付によって提供されたはかた地鶏と県産米を使い、地域の特産品についても知識を深めました。こどもたちは年齢に応じて、おかず班、ごはん班、味噌汁班に分かれ、チキンのパン粉焼き、ナポリタン、味噌汁といったメニューを調理していきます。味噌汁はひとりずつ自分が好きな具材を入れ個性豊かな一品に仕上げ、お米もひとりずつ洗米し炊飯ジャーで炊きました。異なる学校から集まったこどもたちは、料理をする力を身につけるだけでなく、コミュニケーションをとりながら一緒に作り上げる体験をすることで、お互いを尊重する対人スキルも育まれていきます。
「こどもたちが家で安全に料理を作れるようになることこそ、私たちの支援の最終目標です。そのため、実際の家庭を想定し、5人前程度の料理を作る練習をしています」と代表の石田さん。「こどもの台所」ならではのこだわりが、活動の中に息づいています。
活動の背景
この活動の起点は、10年前の設立時に遡ります。「地域社会に住む大人たちとの交流が少ないこどもたちのために、食育を通じた育成の場を作りたい」という代表の石田恭子さんの熱い思いから、設立から2年後に「こどもの台所」をスタートさせます。石田さんは「大人が育てるだけではなく、こどもが大人を救う社会を作りたい、こどもたちが主体的に関わり、知識を共有する場を増やしたい」と話します。こどもたちの言動や行動をひとりの人間として認め、相互に救われるスタイルを大切にしたいと考えています。
石田さんの情熱は地域の農家や企業の心を動かし、寄付を受ける仕組みを作り上げています。そして、経済的な貧困に関わらず、「見えない貧困」に目を向ける活動の必要性を訴えています。
参加者の声
(調理したこども)
「自分の手で料理を作れたことは嬉しい体験でした」
「他のこどもと一緒に作業をするのが楽しかった」
(調理ボランティア)
「毎回、私たちも楽しみにしています」
「こどもたちは、料理が出来上がったときや配膳のときもよく動いてくれるんですよ」
(地域の人)
「めちゃめちゃ美味しいです」
「家でも料理や食事の支度を進んでやってくれるようになって助かっています」
これからのこと
「こどもの台所」とは別に、月1回、振る舞いに重点を置いた「おせっかい食堂」も運営している石田さん。「私たちのこども食堂だと1食分しか提供できないので、地域全体をこども食堂化する構想を描いています」と話します。地域の食堂が運営に参加するという大規模ネットワークの実現を目指し、現在、12店舗が参加予定です。要である資金を募り、地域食堂に分配される仕組みが制度化されるように動いていくそうです。
「こどもまんなか社会」に向けて
石田さんは、こどもまんなか社会では、こどもたちの行動や言動を認めることが大切だと考えています。「大人がこどもたちを一方的に支援するのではなく、こどもたち自身が大人を助ける機会を作ることで、自己肯定感も育まれ、結果として地域全体が支え合う強いコミュニティができるのでは」と話してくれました。
子育て応援隊にじいろ
インスタグラム
https://www.instagram.com/nijiiro.childcare/
ホームページ
https://www.2jiiro-7irolabo.com/
(取材日:2024年12月15日/更新:2025年3月5日)
具体的な活動内容
心をつなぐランドセルの架け橋
イベントでは、こどもたちが展示された中から自分だけの「運命のランドセル」を選ぶ特別な時間や、通学路体験、工作・ゲーム体験などの企画で、こどもたちの思い出づくりを支援します。さらに、学生と地元企業が心を込めて作ったオリジナル化粧箱に、こどもたち自身の手で大切にランドセルを収めて持ち帰ります。会場では同時に新たなランドセルの寄付も受け付けており、昨年は約650個もの温かい善意が集まるなど、循環型の支援の輪が広がっています。
活動の背景
「こどもの未来に希望を持たせることができないだろうか…」7年前、一人の母親から寄せられた、こどもの未来への切実な想いに、NPO法人次世代のチカラFUKUOKAの新村優理事長が深く心を動かされました。こどもたちの未来への可能性を広げ、すべてのこどもたちに平等な学びの機会を提供したいという思いから、活動は始まりました。
その後、九州産業大学造形短期大学部の森下慎也先生との出会いにより、学生のアイディアを盛り込むことで、活動は大きく広がりました。
この取り組みは単なる物の再利用ではなく、こどもたちの可能性を育む、温かな社会のつながりを創造する取り組みに発展しています。
参加者の声
(こどもたちとその家族)
「こんなに綺麗なランドセルをいただけて、本当に感謝しています。こどもが喜ぶ姿を見て、私まで嬉しくなりました」
(寄付者の声)
「大切に使ったランドセルが、新しい持ち主と出会えることが何より嬉しいです」
(プロジェクトリーダー:九州産業大学造形短期大学部 研究生 石田賀琳さん)
「参加者の方々からの『ありがとう』の言葉が、何よりの励みになりました。去年叶えられなかった北九州での活動も実現でき、感慨深いです」
(協力企業)
「地域のこどもたちの笑顔のために、私たちができることを実行する。それが企業としての誇りです」
これからのこと
現在、活動は、福岡市から飛び出し、久留米市、北九州市へと着実に広がっています。このプロジェクトは、地域の企業や団体との連携を深めながら、単なるランドセルの受け渡しを超えて、地域全体でこどもたちの未来を支える大きな取り組みへと成長しています。
「こどもまんなか社会」に向けて
「こどもたちの声に真摯に耳を傾け、一人の人間として尊重し合える社会。それが私たちの目指す『こどもまんなか社会』です。このイベントを通じて、こどもたちが安心して夢を育める環境づくりを、地域全体で進めていきたい」と森下先生は、語ってくれました。
九州産業大学造形短期大学部ホームページ
https://www.zokei.kyusan-u.ac.jp/
NPO法人次世代のチカラFUKUOKAホームページ
http://jisedainochikara.jp/
(取材日:2025年1月18日)
具体的な活動内容
いろりこども食堂では、毎週水曜日の昼間と金曜日の夜に手作りの温かい食事を提供しています。「食べるだけでなく、ここで新しい経験をしてほしい」という代表の辻さんの思いから、月1回の竹細工やポン菓子づくりといった体験型イベントが行われています。
また、取材日は、以前この地域でこども食堂を営んでいた方が、手作りのおでんを差し入れてくれました。小学生や高校生も参加し、炊き立てのご飯を80個近い海苔巻きおにぎりにして提供。「みんなで一緒に作ったから、一層おいしいね!」という声も聞かれ、和やかな雰囲気に包まれました。こうした活動を通じて、多くの地域住民との対話が生まれる場となっています。
さらに、直方市で特定非営利活動法人mixjamが主催する、商店街での仕事体験プロジェクトでは、こどもたちが商品を準備し、販売を通じて経済活動を体験することができます。取材した当日、小学4年生の男の子が、次の日曜日に予定されているせんべいの販売に向けて、「どんな味付けが一番おいしいかな?」と、何度もせんべいの味付けの試作を重ねる姿が印象的でした。辻さんは「自分のお店を持つというのは、こどもたちにとって大きな挑戦です」と話します。
活動の背景
辻さんは、「いろりこども食堂は、古民家の再生から始まりました。最初は『居場所を作る』という小さな目標でしたが、今では地域の課題解決に向けた大きな活動になっています」と語ります。
活動を始めたきっかけは、保育士としての経験から得た「こどもたちが学びながら安心して過ごせる場所が必要だ」という思いでした。「学校や家庭以外にも、ホッとできる『第三の居場所』があれば、こどもたちの未来がもっと豊かになる」と話します。そして、いろりこども食堂を通じて、その思いを実現したいと考えています。
参加者の声
(保護者)
「ここに来ると、こどもが本当に楽しそうにしています。安心して預けられる場所があるというのは、親としてありがたいです。特に、食事が美味しくて、親子ともに癒されます」
(小学4年生 男の子)
「今度の日曜日に、商店街でせんべいを販売する予定です。今日はその練習で、どんな味付けがいいか考えながら作りました。おいしいって言ってもらえるように、頑張りたいです!」
(高校1年生ボランティア)
「地域のこどもたちと関わる中で、自分自身も学ぶことがたくさんありました。いろりこども食堂は、私にとっても大切な場所です。ここでの経験を通じて、将来はこどもたちの役に立つ仕事がしたいと思うようになりました」
これからのこと
辻さんは、これまで続けてきた「こどもの居場所」の取り組みを起点に、すべてのこどもたちが自分らしく安心して育つ環境を作るための仕組みをさらに充実させていきます。
例えば、フリースクール・おやこひろば・訪問支援・アウトリーチとしてのプレーパーク、そして、コーディネーターの養成など、多岐にわたる活動で、こどもたちが学び成長できる機会を提供したいと考えています。
「こどもまんなか社会」に向けて
辻さんは、「すべてのこどもたちが、安心して生きていける社会になったらいいなというのは、私がずっと思い続けていることです。経済的な困難や病気・障がいの有無がこどもたちの人生の妨げにならないような、こどもたちを真ん中に据えた社会を実現するために、大人全体が一丸となって支え合う必要があると感じています。『子育てはみんなでシェアする』という意識が広がり、得意な人がその力を発揮してこどもを支える仕組みができれば、より良い社会になると信じています」と話してくれました。
こどもの居場所いろり
ホームページ
https://mixjam-inclusive.com/
インスタグラム
https://www.instagram.com/mixjam.irori/
(取材日:2024年12月13日)
具体的な活動内容
土曜クラブのこども食堂は、こども(高校生まで)無料・おとな300円で、メインメニュー(カレー、ハヤシライス、スパゲッティ等が週替わり)と9種類の副菜を提供しています。 様々な企業や団体、個人の方から提供されるお野菜は金曜日にいただきに回り、土曜日の朝にスタッフが届いた食材をみながら、その場で9種類の副菜メニューを決めていきます。食材の提供などはもちろんのこと、70代後半から80代がメインという地域ボランティアのみなさんの熱意があって、成り立っている食堂です。
こども食堂のボランティアスタッフは、毎回10名程度。高齢者の女性が多いのですが、時には男性や若者、障がいのある若者、また、以前この食堂に来ていたこどもがお手伝いにきてくれています。 多い時で120食ほどを準備しており、こどもたちやファミリー、高齢者の方も参加し、栄養バランスが良い食事を楽しむとともに、世代を超えた賑やかな地域交流の場になっています。
活動の背景
「こどもの貧困問題に関心を持っていたので、経済的に厳しい家庭のこどもや孤食になっているこどもに食の支援を、また学校外の学習にお金をかけられない家庭のこどもにも学習支援をやっていきたい」と考えて土曜クラブを立ち上げた下川さん。
また、2020年度から、土曜クラブの他に小学生・中学生向けの学習支援「Hoshizoraクラブ」もスタート。基本的には一人ひとりが自主的に学習するスタイルで、小学生は宿題を中心に、中学生はそれぞれの計画に沿って学習する場を提供しています。市民や退職した教員、高校生、高校の時に学習支援に来てくれていた若者が就職して教えにきてくれており、学習だけではなく、多様な人間関係が生まれるこどもたちの居場所にもなっています。
また、第三土曜日は、読み聞かせボランティアの方も参加してくれています。こどもたちの体験を広げるために、創作活動などの体験の場も提供しています。
参加者の声
(代表の下川さん)
「毎週、メインメニューと9種類の副菜の食事を継続していくことは大変ですが、ボランティアスタッフの熱意と提供いただける食材のおかげで成り立っており、『毎週土曜日は栄養のバランスがとれる!』と嬉しい声も多くいただき、自慢のメニューです」
(参加したこども)
「ここに来ると知らない人も優しい声をかけてくれてうれしい!」
「毎週、メニューが楽しみ!」
「優しい味付けで、野菜が食べられるようになった!」
これからのこと
下川さんは「ボランティアスタッフの高齢化で後継者の育成という課題はありますが、子育ては、学校・家庭だけではできない。やっぱり地域が支援していかないといけない。この少子化の時代に一人ひとりのこどもたちを大事に育てていかないと次の社会は担えない。特に八女のような農村部では、持続可能な社会づくりのために人づくりがとても大切なので、できることをやりながら、こどもを支援する文化(共育)を広めていきたい。私たちおとなも、こどもたちと同じように、学校や職場、家庭以外の地域の居場所が大切なんです」と熱く語ってくれました。
土曜クラブ(こども食堂&学習支援)Facebookページ
https://www.facebook.com/doyoclub
(取材日:2024年12月7日)
具体的な活動内容
このイベントの特徴は、チームを一つの家族(Family)に見立てて、年齢の垣根を越えて一緒に体を動かしながら交流することです。6~7名で構成される各チームには、幼児とその保護者、小中高生がバランスよく配置されています。
まずは、みんなで準備運動。屋根付きの広々とした芝生広場で、思いっきり体を動かします。
次に、チーム(Family)名を話し合います。みんな好きなものなど思い思いの個性的な名前を付けて、元気に発表してくれました。
チームの名前が決まったら、いよいよプログラム開始。タグを使ったゲーム、ボール運びやパス練習など、チーム一丸となって運動プログラムに挑戦。みんなで協力しながら、ミッションをクリアしていきます。最初は、人見知りしていた子もいましたが、プログラムを重ねる中で、打ち解け、笑顔でふれあっていました。
イベントの最後には、ルリーロ福岡の選手によるラグビーのデモンストレーションも行われ、その迫力に参加者たちから大きな歓声が沸き上がり、熱気に包まれた、みんなで感動を共有する時間になりました。
活動の背景
現代社会では、こどもたちの異年齢交流の機会が減少傾向にあります。こうした背景から、本イベントは、スポーツ活動を通じて自然な形で世代間交流を促し、こどもたちに、家族や子育てについてイメージできる機会を提供しようと企画しました。
また、ラグビーというチームスポーツを選んだことで、協力し合う大切さも学べる機会となりました。
参加者の声
(幼児・小学生の声)
「中学生や高校生のお兄ちゃん・お姉ちゃんと遊ぶことが楽しかった」
「ボールを使った遊びが面白かった。普段はできない経験ができた」
(中高生の声)
「小さいこどもたちと触れ合うことが、普段なかなかないから、とても楽しかったです」
「走ったり遊んだりして、すごく楽しかったです。ラグビーの選手もかっこよかったけど、やっぱり小さいこどもと遊んで楽しかったです」
「こういうイベントがもっと増えたらいいなと思いました。地域のためにもなるし、みんなで楽しめるから良いですよね」
(保護者の声)
「なかなかこどもと一緒に過ごす土日って少なくて、今日は一緒に走ったりして、とても楽しかったです。筋肉痛になるかもしれない(笑)」
「一生懸命走るこどもの姿が印象的だった」
これからのこと
福岡県では、次世代の親となる若い世代が将来の家庭や子育てについて考える機会を提供するため、今後も、中高生を対象とした直接的な乳幼児とのふれあい体験の実施を促進します。
(取材日:2024年11月30日)
具体的な活動内容
若者の声が地域を変える原動力に
まちづくりの専門家を招いた勉強会を開催するとともに、定例の全体会議では、新規プロジェクトの企画立案を行い、プロジェクトチームを立ち上げ実行しています。
学生主導の「ReLeFes.(リリフェス)チーム」は、異なる学校の生徒が協力して合同文化祭を企画・運営しています。
「oMU+=(マルミュータ)チーム」は、駅前エリアをテーマパークのように楽しめる場所に変えるイベントを実施しています。
イベント会場正面
JR大牟田駅ホーム内でななつぼしをシャボン玉を飛ばしながら見送りました。
「Re-Life (リライフ)チーム」は、空き家のDIY-改修を通じて、街の新しい可能性を探っています。
「みんなのえきまえプロジェクトチーム」は、大牟田駅西口でのポイ捨て問題を解決するため、ポイ捨てしづらい環境づくりを実施しています。
剪定作業後にボランティア袋(ごみ袋)に詰めました。
なんとボランティア袋は50袋ほどに!
若者たちの意見を尊重し、対等な立場で議論を行う場づくりが特徴的で、社会人メンバーの持つさまざまな専門知識と学生のアイデアを出し合いながら企画を形にしていきます。特に学生主導の「ReLeFes.(リリフェス)チーム」では、社会人のメンバーは、アドバイスや実務的なサポートに徹し、最終的な判断は学生たち自身に委ねられています。また、イベントの企画から実施まで、必要な手続きや予算管理なども含めて実践的な学びの場となっています。
活動の背景
活動の背景には「自分たちの街を盛り上げたい」という若者と、「若者の意見をもっと社会に活かしたい」という地域の思いがあります。学校や地域の枠を超え、若者たちが「自分たちの街は自分たちで良くしていきたい」という思いを形にできる場所として機能しています。
参加者の声
(高校生)
「リリフェスでは、人に頼ることや他校の生徒とのつながりの大切さを学びました。今では、もっと地域づくりに関わりたいと感じています」
(高校生)
「最初は不安でしたが、自分の意見を否定されることなく、むしろ『じゃあ、やってみよう!』と背中を押してもらえる場所でした」
(高校生)
「学校も学年も違う人たちと出会え、新しい視点や考え方に触れることができました。この経験は私の将来の選択肢を広げてくれました」
(高校生)
「大人からの一方的な指示ではなく、対等な立場で意見を出し合えることで、自分の考えに自信が持てるようになりました」
(市担当者)
「若者の自由な発想が地域を新しい方向へ導く力になると実感しています。彼らの成長と共に、地域の未来を一緒に築きたいです」
これからのこと
若者たちは「文化会館など、普段、若者が利用しにくい施設をもっと身近に感じてもらえる場所にしたい」と展望を語ります。また、活動の継続性を高めるため、SNSでの情報発信強化や、新たな参加者の募集方法の工夫を進めています。さらに、九州各地の若者団体との連携も視野に入れ、より広い視点でまちづくりを考えていく予定です。
「こどもまんなか社会」に向けて
こどもまんなか社会に向けて、高校生たちからメッセージをもらいました。
<大人の皆さんへ>
「私たちを子ども扱いするのではなく、一人の人間として対等に接してほしいです」
「意見をただ『すごいね』で終わらせるのではなく、どう実現できるか一緒に考えてほしいです」
<同じ世代のみなさんへ>
「失敗を恐れず、チャレンジのきっかけを逃さないでほしい」
「自分の思いを言葉にすることで、自分の世界が広がっていく。いろいろな人と意見を交わすことを楽しんで!」
大牟田わかもの会議ホームページ
https://omuta-wk.com/
大牟田市ホームページ
https://www.city.omuta.lg.jp/kiji00316921/index.html
(取材日:2024年11月27日)