福岡県こどもまんなかポータルサイト

小さな味覚体験が未来をつくる!園児のための食育事業

具体的な活動内容

JA全農ふくれんの食育活動では、季節ごとに旬の果物を通してこどもたちに様々な体験を提供しています。夏は「なし・ぶどう・いちじく」、秋は「柿・みかん」、冬は「キウイ」を味わい、特別企画として3月には「博多あまおう」を味わう「みつばち感謝の日」を実施しています。

「みつばち感謝の日」では、「いちごの王様あまおうとみつばちビー」という紙芝居を通して、いちごとみつばちの関係を学び、JAや農家の方から贈られた博多あまおうを試食します。令和5年度には、福岡県内48の幼稚園・保育所から約6,300人、令和6年度には約4,000人の園児がこの活動に参加しました。これまでの参加者は延べ約8万人を超え、福岡県のこどもたちにとって大切な食育の機会となっています。

夏・秋・冬に実施している食育プログラム「フルーツキッズレンジャーになろう!」では、こどもたちがフルーツキッズレンジャーになりきり、旬の果物の魅力や栄養について学びます。先生方がオリジナルの紙芝居を読み聞かせし、果物ができるまでの過程や栄養について伝えた後、JAや農家の方から提供された旬の果物を試食します。「フルーツキッズレンジャーになろう!」は、14年以上続き、これまでに延べ12万人以上の園児が参加しました。

活動の背景

JA全農ふくれんがこの活動を始めたきっかけは、現代社会におけるこどもたちの果物離れに課題を感じていたことでした。長年、果物の販売担当を務めている青柳さんは、「果物を一度も食べたことがないこどもが増え、20歳で初めて柿を口にする若者もいます。これは農家側の私たちにとっても深刻な問題です」と語ります。

青柳さんは、核家族化や食の外部化が進む中、こどもたちの味覚形成や食文化継承に危機感を抱いており、「幼少期の味覚体験は将来の食習慣の礎となります。農業従事者の高齢化も進む中、こどもたちに食と農のつながりを知ってほしい」と願っています。 さらに、「特に『みつばち感謝の日』では、いちごと自然環境の大切な関係を学ぶ貴重な機会を提供することができ、福岡県でしか生産していない『あまおう』に愛着を持ってくれることは嬉しいことです」と語ってくれました。

参加者の声

活動後のアンケートでは、年にもよりますが、約94%の園が「大変良い取り組みである」と評価し、約84%が「こどもたちに変化があった」と回答しています。

【いちごに関する変化】
「以前よりいちごが話題にあがるようになった」
「いちごの味についてよく尋ねるようになった」
などの変化が見られ、
「いちごに名前があることを知らなかったが、食べる時『それ、あまおうよね!』と言っていた」
「1歳児も『あまおうはすごい』『はちさんプーン』と言っていた」
など、小さなこどもたちにも強く印象に残りました。

【他の果実に関する変化】
「苦手だったこどもも、お友達と一緒に食べることができた」
「いちじくという果物を知った」
「季節の果物を食べることで季節感を味わえた」
という感想もありました。

特に印象的なのは、「果物を食べるだけではなく、育てる過程や生産者さんの存在に気づくことができる」という声です。こどもたちは果物がどのように育ち、誰によって作られているのかを学び、食と農業への感謝の気持ちを育んでいます。

これからのこと

14年間以上続くこの食育活動は、こどもたちが「生きる力」を育み、食と農業の大切さを理解し、故郷を愛する心を持つ人に成長してほしいという願いから始まりました。

「今後も『みつばち感謝の日』と『フルーツキッズレンジャーになろう!』を通じて、果物の魅力と農業の大切さを伝え続けます。こどもたちが福岡の特産品に興味を持ち、地域への愛着を深めることも大切にしています」と青柳さんは語ってくれました。

JA全農ふくれんホームページ

(取材日:2024年11月)

未来の建設業界を担う人材育成!高校生の工事現場見学支援事業

具体的な活動内容

(一社)福岡県建設業協会が行うこの事業では、福岡県内の工業高校の生徒たちを対象に、トンネル工事、高層ビル建設、公共施設整備など、様々な工事現場への見学・体験を実施しています。現場を提供する建設会社は、安全管理を徹底した上で、通常の工事の進行に支障がないよう配慮しながら生徒たちを受け入れおり、この貴重な体験が実現しています。

見学では、現場で日々働く技術者や職人たちが自らの仕事に対する誇りと情熱を持って、建設の過程や技術的な側面について直接説明を行います。これは建設会社や職人さんたちにとっても、自分たちの仕事の価値を次世代に伝える貴重な機会となっています。

見学は単に現場を見るだけでなく、建設に携わる様々な職種の人々と交流し、将来のキャリアについて具体的なイメージを持つ機会にもなっています。現場の第一線で活躍する技術者の説明を通じて、高校生たちは建設業の魅力や、やりがい、そして社会的な意義を肌で感じることができます。

福岡県建設業協会は、工事現場の選定から安全管理、学校との調整、工事現場までの移動手段の補助まで全面的にコーディネートし、各建設会社と連携して高校生たちが安全かつ効果的に学べる環境を整え、受け入れる建設会社側も、将来の業界を担う人材育成という意識で、業務の合間を縫って丁寧な対応をしています。この取り組みは30年以上継続して行われており、県内の多くの工業系の高校生が参加してきました。

活動の背景

福岡県建設業協会の担当者は、「建設業界では若手の人材不足が深刻な課題となっています」と語ります。この活動は、高校生の実践教育を支援するとともに、建設業の本当の姿を若者に伝えるという二つの目的を持っています。特に工業高校の生徒たちにとっては、教科書や授業だけでは得ることができない生きた知識と経験を得る貴重な機会となっています。

また、少子高齢化が進む中、インフラ整備や災害復旧を担う建設業界の人材確保は喫緊の課題になっています。現場見学を通じて、若者たちが建設業の社会的意義や魅力を再認識し、進路選択の一助となることが期待されています。

協会は、「多くの若者が建設業に対するネガティブなイメージを払しょくし、実際の現場は創造性や技術力、チームワークが光る『給与よし・休暇あり・希望が持てて・かっこいい』魅力的な職場であることが少しでも伝わり、将来建設業で活躍する若者が増えてほしい」と考えています。

参加者の声

(1年生)
「現場見学では、事故や災害を起こさないことが最も重視されていると感じました。様々な安全対策から安全確保の大切さを学び、それが利用者の安全にも繋がると実感しました」(物流倉庫見学)

(2年生)
「分かりやすいスライドは、プレゼンの良い手本となり、専門性と伝える力を身につけたいと感じました」(ビル工事見学)

「初めてトンネル工事を見学し、その規模の大きさに圧倒されました。普通では見ることができないトンネルの内部を見学でき、貴重な体験になりました」(トンネル工事見学)

「若い人から年配者まで多様な人々が一丸となって働く姿を見て、その強い責任感と情熱に感銘を受けました。卒業後は必ず大工になるという決意を固めることができました」(市民ホール工事見学)

(同行した高校の先生)
「現場見学を通して生徒はもちろん、私自身実際の現場の動きを直接見ることができ、大変貴重な経験をさせていただきました」

多くの学生が、実際の現場を見ることで建設業に対する認識が大きく変わったと報告しています。

これからのこと

この取り組みは、高校生のキャリア教育支援だけでなく、地域社会の基盤を支える建設業の未来を担う人材育成という社会的使命を果たす重要な活動となっています。実際の現場で感じる「ものづくりの感動」や「チームで成し遂げる達成感」は、次世代の建設業界を担う若者たちの心に深く刻まれています。

福岡県建設業協会では、この現場見学支援事業を今後も積極的に継続し、より多くの高校生に建設業の魅力を伝える機会を提供していく予定です。「若者たちに建設業の本当の姿を見てもらい、この業界を志す人材が増えることを願っています」と協会担当者は話しています。

一般社団法人福岡県建設業協会ホームページ

(取材日:2024年11月29日)

「みんなが集まれるコミュニティの場」~こども食堂から地域食堂へ~

具体的な活動内容

毎月第三土曜日の16時から開催される「キッチン小春ちゃん」では、偶数月のフードパントリーと奇数月の会食イベントを展開しています。夏休みなどの長期休暇中には、地域食堂も開催しています。さらに、学びを取り入れた特別企画も実施しており、香春町青少年育成町民会議と共催した「スーパー巻き寿司大会」では、こどもたちと地域の人々が一体となって長い巻き寿司を作り上げ、会場が大いに盛り上がったそうです。



取材当日は、「親子で楽しむマナー講座」と題し、創立メンバーの竹原裕美さんを講師に迎えて特別企画が開催されました。15時30分頃、会場の香春町地域福祉センター香泉荘には、調理スタッフ10名を含む約30名のボランティアが集結し、着々と準備を進めていきました。17時近くになると、親子連れや高齢者など約70名の参加者が来場しました。

「親子で楽しむマナー講座」では、カレーライス、豚の角煮、唐揚げ、デザートのケーキを味わいながら、食事の大切さと作法を学びました。竹原講師の「今日は特別な日。みんなで楽しく食事のマナーを学びましょう」という言葉に、こどもたちは目を輝かせて聞き入っていました。会場のあちこちでは、「皿を汚さないように食べるのは難しいね」「ケーキの包み紙、上手にはがせたよ」といった温かな親子の会話が弾みます。小さなこどもたちから大人まで、真剣な表情で挑戦する姿が微笑ましく、印象的でした。参加者は、帰り際、用意されたおみやげを笑顔で受け取り、「また来たい」という声を残して会場を後にしました。

こども食堂の運営は、こどもは無料、大人は任意の寄付制の参加費と、行政からの補助金、企業からの寄付で賄われ、地域に根差した温かな取り組みとして、着実に発展を続けています。

活動の背景

社会福祉協議会に寄せられる子育ての相談の深刻さに心を痛めた中山敏幸さんと元市役所職員の丸田宏幸さんは、「地域全体で子育てを支えたい」という強い思いから、7年前、教育関係者やスクールソーシャルワーカーなど、志を同じくする約10名と共に「キッチン小春ちゃん」を立ち上げました。

世界各国を飛び回った商社マン時代の経験から、地域のつながりの大切さを痛感していた中山代表は、「人口1万人を切る香春町だからこそ、地域の絆が何より大切です。生活環境が異なっても、ここに来るこどもたち全員が楽しく過ごせる場所にしたい」と熱い思いを語ります。

こども食堂として始まったこの取り組みは、今ではこどもから高齢者まで、誰もが気軽に立ち寄れる温かな地域の居場所として、着実に根付いています。

参加者の声

(参加したこども)
「楽しかった!お腹いっぱいになった」

「おみやげがうれしい!」

(保護者)
「友達に誘われて初めて参加しました。こんな豪華な食事でびっくりしました!マナーのお話がためになりました」

「保育園からチラシをもらって、来られる時は結構来ていますね。最初はパントリーでした。こどもも楽しみにしていますし、香泉荘で開催されているから参加しやすいです」

(調理ボランティア)
「月に1~2回参加していますが、楽しいですよ!」

(中山代表)
「地域の方から“なにか手伝いたい。ボランティアをしたいけど、チャンスがないからできない。だから、こういうチャンスがあれば手伝えるから嬉しい”という声をいただきます」

これからのこと

こども食堂としての活動に加え、高齢者も含めた「地域食堂」としての展開を始めています。中山代表は、「こどもだけじゃなくて、大人も集まる場所がなにかできないかな」という地域の声に応え、すでに地域食堂を3回開催。これからは、こどもも大人も気軽に集まれる第3の居場所づくりを目指し、防災をテーマにした企画なども検討しながら、世代を超えた交流の場として、さらなる発展を計画しています。

(取材日:2025年1月15日)

 地域と未来をつなぐ こどもたちの成長応援プロジェクト

具体的な活動

図書カード贈呈事業

飯塚信用金庫は、創立70周年から始まった図書カード贈呈事業を32年にわたり継続し、地域の読書環境の充実に貢献しています。この取り組みでは、飯塚市、嘉麻市、宮若市、桂川町のすべての公立学校と公立図書館に、累計1億円を超える図書カードを寄贈しています。生徒数に応じた額を各学校に配分し、図書館で活用できる仕組みを整えています。一部の図書館では「飯塚信用金庫蔵書紹介コーナー」が設置されるなど、こどもたちの読書環境の向上に寄与しています。この活動は『事業が続く限り継続したい』という信念のもと行われています。

飯塚信用金庫蔵書紹介コーナー

子育てに優しいローカウンター

飯塚信用金庫の各支店では、妊婦や子育て中の親子が安心して利用できる環境を整備するため、窓口にローカウンターを設置しています。立ったままでなく、座って手続きを進められる配慮がなされており、子育て層に寄り添ったサービスとなっています。

小・中学生のキャリア教育支援

飯塚信用金庫は、飯塚市と地域の学校、そして地元の企業と連携した職場体験型キャリア教育にも参加。小学5年生を対象とする「スチューデント・シティ」と、中学1年生を対象とする「ファイナンス・パーク」の授業で、仮想の街で金融業務を体験し、経済の仕組みを学べるプログラムを提供しています。飯塚信用金庫の職員がキャリア教育に関わっているのは9月から1月にかけて計15回に及びます。
この取り組みは、こどもたちが楽しみながら社会について学ぶ貴重な機会となっています。

活動の背景

活動の原点は「未来を支えるこどもたちのために地域が何をできるか」という問いから始まりました。飯塚信用金庫では、創立以来、地域社会と共に成長し、こどもたちへの教育支援や生活環境の向上に力を注いできました。特に、図書カード贈呈事業は「読書を通じてこどもたちの知識と可能性を広げてほしい」という思いが込められています。また、地域の学校と連携したキャリア教育やローカウンターの設置は、地域全体で子育てを支えたいという理念に基づくもの。これらの活動は特別なものではなく、飯塚信用金庫として日常的に続けてきた取り組みを発展させた形として継続されています。

参加者の声

キャリア教育に参加した学校からは、「生徒たちが金融業務を実際に体験することで、社会や経済について楽しく学べる機会となっている」との声が寄せられています。また、図書カード贈呈事業については、「こどもたちの学びを支える仕組みとしてありがたい」と学校や地域住民からの感謝の声が上がっています。

これからのこと

「これからも、地域のこどもたちが健やかに成長し、夢を描ける環境を整えるために、継続的に図書カード贈呈や職場体験などの活動を進めていきます。また、地域に寄り添ったサービスを充実させ、子育て世帯を支える取り組みをさらに発展させたい」と総務部の田中副部長は話します。

「こどもまんなか社会」に向けて

田中副部長は、「私たちは、こどもたちを地域の未来と考えています。これからも、地域全体でこどもたちの成長を支え、『こどもまんなか社会』の実現に向けて努力を続けます」と話してくれました。

 

飯塚信用金庫ホームページ
https://iishin.jp/freai/

(取材日:2024年10月7日)

こどもが創る、地域のつながり。こどもの台所プロジェクト

具体的な活動内容

「こどもの台所」の最大の特徴は、こどもたちが主体となり、料理体験を通じて自立性を育てることです。約10名の地域ボランティアと一緒に簡単な家庭料理を作りながら、食材の使い方や基本的な料理スキルを学びます。
取材の日は、クラウドファンディングの寄付によって提供されたはかた地鶏と県産米を使い、地域の特産品についても知識を深めました。こどもたちは年齢に応じて、おかず班、ごはん班、味噌汁班に分かれ、チキンのパン粉焼き、ナポリタン、味噌汁といったメニューを調理していきます。味噌汁はひとりずつ自分が好きな具材を入れ個性豊かな一品に仕上げ、お米もひとりずつ洗米し炊飯ジャーで炊きました。異なる学校から集まったこどもたちは、料理をする力を身につけるだけでなく、コミュニケーションをとりながら一緒に作り上げる体験をすることで、お互いを尊重する対人スキルも育まれていきます。
「こどもたちが家で安全に料理を作れるようになることこそ、私たちの支援の最終目標です。そのため、実際の家庭を想定し、5人前程度の料理を作る練習をしています」と代表の石田さん。「こどもの台所」ならではのこだわりが、活動の中に息づいています。

活動の背景

この活動の起点は、10年前の設立時に遡ります。「地域社会に住む大人たちとの交流が少ないこどもたちのために、食育を通じた育成の場を作りたい」という代表の石田恭子さんの熱い思いから、設立から2年後に「こどもの台所」をスタートさせます。石田さんは「大人が育てるだけではなく、こどもが大人を救う社会を作りたい、こどもたちが主体的に関わり、知識を共有する場を増やしたい」と話します。こどもたちの言動や行動をひとりの人間として認め、相互に救われるスタイルを大切にしたいと考えています。
石田さんの情熱は地域の農家や企業の心を動かし、寄付を受ける仕組みを作り上げています。そして、経済的な貧困に関わらず、「見えない貧困」に目を向ける活動の必要性を訴えています。

参加者の声

(調理したこども)
「自分の手で料理を作れたことは嬉しい体験でした」
「他のこどもと一緒に作業をするのが楽しかった」

(調理ボランティア)
「毎回、私たちも楽しみにしています」
「こどもたちは、料理が出来上がったときや配膳のときもよく動いてくれるんですよ」

(地域の人)
「めちゃめちゃ美味しいです」
「家でも料理や食事の支度を進んでやってくれるようになって助かっています」

これからのこと

「こどもの台所」とは別に、月1回、振る舞いに重点を置いた「おせっかい食堂」も運営している石田さん。「私たちのこども食堂だと1食分しか提供できないので、地域全体をこども食堂化する構想を描いています」と話します。地域の食堂が運営に参加するという大規模ネットワークの実現を目指し、現在、12店舗が参加予定です。要である資金を募り、地域食堂に分配される仕組みが制度化されるように動いていくそうです。

「こどもまんなか社会」に向けて

石田さんは、こどもまんなか社会では、こどもたちの行動や言動を認めることが大切だと考えています。「大人がこどもたちを一方的に支援するのではなく、こどもたち自身が大人を助ける機会を作ることで、自己肯定感も育まれ、結果として地域全体が支え合う強いコミュニティができるのでは」と話してくれました。

 

子育て応援隊にじいろ
インスタグラム
https://www.instagram.com/nijiiro.childcare/

ホームページ
https://www.2jiiro-7irolabo.com/

(取材日:2024年12月15日/更新:2025年3月5日)

親の仕事を知り、地域とつながる。15年続く『小学生参観』でこどもたちの未来を育む

具体的な活動内容

毎年、10月のスポーツの日に開催される「小学生参観」は、今年15回目を迎えました。社員のこどもを対象に職場体験を行う活動です。こどもたちはお揃いのユニフォームを着用し、朝礼から1日をスタートします。親の働く職場を見学するだけでなく、6年生には卒業式を行うなど、心温まる体験や、企業活動に関連した創作活動を体験できるようにしています。
今回は、グループ会社の農園看板制作などを行ったり、みんなでお弁当を食べたりしながら、こども同士の交流も図ります。活動後は参加したこどもたちの感想や写真を掲載した「小学生新聞」を作成し、参加した家族や社内で共有し、こどもと親が一緒に過ごす良き思い出の一日を記録として残すことができています。

また、従業員の平均年齢39歳という大坪GSIは、子育て真っ最中の社員が多くいることから、経済的な子育て支援制度にも取り組んでいます。それは、15歳まで(中学生)のこども1人につき月額3,000円の支援金と決算期に12万円の特別支援金を支給するというものです。
さらに、子連れ出勤の支援として、保育園に入れない時や、急な用事で預け先がない時、会社の空きスペースをこどもが遊べるスペースとして活用するなど、『企業ができることは企業がやる』という考えのもと、子育て世代が働きやすい環境づくりに積極的に取り組んでおり、グループ4社全体に広がっています。

活動の背景

大坪社長は、「実は最初は、ビジネスライクな発想からでした」と振り返ります。15年前に人材不足対策として会社主導で始めた小学生参観ですが、こどもたちの反応を通じて、その意味は大きく変わりました。今では社員で構成するプロジェクトチームができ、自主的に企画を練るまでに成長しています。

さらに大坪社長は、「休日にのんびりしている親の姿しか知らないこどもたちに、汗を流して働く姿を見せたい。こどもたちに親の仕事の真の姿を知ってほしい」と考えています。建設業は若い世代から敬遠されがちな業界。この取り組みの根底には、「都会に憧れる若者に、将来『親の会社、大坪GSIを思い出してほしい』」という思いがあります。
「子育てにやさしい会社づくりは、制度を待つのではなく、企業が率先して取り組むべき」と強調します。「ここならこどもを産み育てられる」と思える環境づくりが経営哲学と考えています。

参加者の声

(2歳から参加している女児の母親(社員))
「『今度の小学生参観、絶対行く!』と毎回心待ちにしています。社員の皆さんとも顔なじみになり、まるで大家族のよう。こどもにとって、かけがえのない経験になっています」

(参加したこども)
「コースターを作ったのが楽しかったです。看板の色塗りも楽しかったです」
「みんなで遊んだり、えびやさつまいもを見に行ったりして楽しかったです。いろいろな人と友だちになれて、うれしかったです」

これからのこと

大坪GSIでは、夏休みに地域のこどもたちを対象とした「子ども土サミット」を開催し、陶芸体験や工場見学を通じて、土と触れ合う喜びを伝えています。これまで、福岡で2回開催し、来年からは九州全域での展開を計画中です。各地の同業者と連携し、より多くのこどもたちに体験の機会を提供できるよう進めていく予定とのことです。

「こどもまんなか社会」に向けて

大坪社長は「企業の自助努力が不可欠です。こどもに希望を与え、働く親が安心して子育てできる環境づくりが重要。企業が率先して子育て支援に取り組むことで、こどもまんなか社会の実現につながるのでは」と話してくれました。

 

大坪GSI株式会社ホームページ
https://www.ogsic.jp/

(取材日:2025年1月23日)

「思い出のランドセル、新たな笑顔へ」~福岡発、広がるこどもたちへの希望のバトン~

具体的な活動内容

心をつなぐランドセルの架け橋

イベントでは、こどもたちが展示された中から自分だけの「運命のランドセル」を選ぶ特別な時間や、通学路体験、工作・ゲーム体験などの企画で、こどもたちの思い出づくりを支援します。さらに、学生と地元企業が心を込めて作ったオリジナル化粧箱に、こどもたち自身の手で大切にランドセルを収めて持ち帰ります。会場では同時に新たなランドセルの寄付も受け付けており、昨年は約650個もの温かい善意が集まるなど、循環型の支援の輪が広がっています。

活動の背景

「こどもの未来に希望を持たせることができないだろうか…」7年前、一人の母親から寄せられた、こどもの未来への切実な想いに、NPO法人次世代のチカラFUKUOKAの新村優理事長が深く心を動かされました。こどもたちの未来への可能性を広げ、すべてのこどもたちに平等な学びの機会を提供したいという思いから、活動は始まりました。
その後、九州産業大学造形短期大学部の森下慎也先生との出会いにより、学生のアイディアを盛り込むことで、活動は大きく広がりました。
この取り組みは単なる物の再利用ではなく、こどもたちの可能性を育む、温かな社会のつながりを創造する取り組みに発展しています。

参加者の声

(こどもたちとその家族)
「こんなに綺麗なランドセルをいただけて、本当に感謝しています。こどもが喜ぶ姿を見て、私まで嬉しくなりました」

(寄付者の声)
「大切に使ったランドセルが、新しい持ち主と出会えることが何より嬉しいです」

(プロジェクトリーダー:九州産業大学造形短期大学部 研究生 石田賀琳さん)
「参加者の方々からの『ありがとう』の言葉が、何よりの励みになりました。去年叶えられなかった北九州での活動も実現でき、感慨深いです」

(協力企業)
「地域のこどもたちの笑顔のために、私たちができることを実行する。それが企業としての誇りです」

これからのこと

現在、活動は、福岡市から飛び出し、久留米市、北九州市へと着実に広がっています。このプロジェクトは、地域の企業や団体との連携を深めながら、単なるランドセルの受け渡しを超えて、地域全体でこどもたちの未来を支える大きな取り組みへと成長しています。

「こどもまんなか社会」に向けて

「こどもたちの声に真摯に耳を傾け、一人の人間として尊重し合える社会。それが私たちの目指す『こどもまんなか社会』です。このイベントを通じて、こどもたちが安心して夢を育める環境づくりを、地域全体で進めていきたい」と森下先生は、語ってくれました。

 

九州産業大学造形短期大学部ホームページ
https://www.zokei.kyusan-u.ac.jp/

NPO法人次世代のチカラFUKUOKAホームページ
http://jisedainochikara.jp/

(取材日:2025年1月18日)

「みんなが笑顔になれるまちづくりを目指して」子ども食堂☆きらきら清水(きよみず)

具体的な活動内容

「子ども食堂☆きらきら清水」は、毎月第一または第二土曜日にこどもたちと保護者が参加できる食堂です。10名の地域ボランティアが作る栄養バランスの取れた手作りの食事は参加者にも大人気です。費用はこども100円、大人300円。中学生や高校生、近隣の大学生が見守り役としてボランティアで参加し、こどもが自由に楽しむ「遊び」時間を支えています。また、料理教室やクリスマス会などのイベントもあり、多世代交流を実現しています。さらに、無料の「スマイル学習塾」では、大学生が算数や国語の学習指導を行い、こどもたちの成長を支えています。
月2回のフードパントリー活動では、企業や個人から寄付された食材を活用し、家庭に無料で配布。パントリーは事前申し込み制で、多くの家庭から好評を得ています。

活動の背景

NPO法人Smileネットワーク北九州を立ち上げた理事長の山縣郁子さんは、自らの子育て経験から、子育ての孤独を感じている親やこどもたちに「安心できる居場所」を提供したいと思い、こども食堂を始めました。地域の太鼓保存会メンバーと協力し、こどもたちに太鼓を教える場を作ったことが参加者を呼ぶきっかけとなり、地域全体でこどもを見守り支える仕組みがスタートしました。幼児から高校生、さらに大学生や地域の大人まで、多世代が交流する場となることで、こどもたちが年上のロールモデルに触れ、お互いに学び合う点も特徴の一つになっています。

参加者の声

(小学4年生ほか参加したこども)
「美味しいごはんが嬉しいです。友達と来るのが楽しみ!」
「お兄ちゃんやお姉ちゃんと遊ぶのが楽しい!」

(保護者)
「月に一度のこの場所で、親子で楽しい時間を過ごせてありがたいです」

(大学生ボランティア)
「毎回お楽しみイベントの準備はワクワクします。妹がひとりしかいない私にとって、小さいこどもたちと触れ合う時間は心が癒されます」

(ボランティア)
「地域のこどもたちの成長を見守るのにやりがいを感じます」

これからのこと

NPO法人Smileネットワーク北九州では、こども食堂やフードパントリーを通じた支援を継続しながら、さらなるスマイル学習塾の拡大や、新しい場所でフードパントリーを展開する計画など、こどもたち自身が主体的に活動する企画も進めています。
さらに、大学生を対象にした「自炊塾」も少しずつ動き出しています。大学生や高校生が活躍できる場づくりや、若者が地域に貢献する機会を増やしたいと考えています。
山縣さんは、「家庭環境や経済的な事情で学びを得られないこどもたちに、継続的な学習支援を届けたい」とも話しています。

(学生ボランティアのみなさんと中央が理事長の山縣さん)

「こどもまんなか社会」に向けて

山縣さんは、「こども食堂はこどもたちが安心して過ごせる地域の居場所になっています。そして、こどもをまんなかに、学生の学びの場や大人たちの生きがいにもつながっています。核家族が増える中、みんなで見守り、交流することが、こどもたちの成長や未来にも大きく影響することと思います。一緒に笑顔あふれる地域をつくりましょう!」と笑顔で語ってくれました。

 

NPO法人Smileネットワーク九州ホームページ
https://www4.hp-ez.com/hp/kirakirakiyomizu/

(取材日:2024年12月14日)

子育てはみんなでシェアしよう!地域とこどもたちをつなぐ温かな居場所

具体的な活動内容

いろりこども食堂では、毎週水曜日の昼間と金曜日の夜に手作りの温かい食事を提供しています。「食べるだけでなく、ここで新しい経験をしてほしい」という代表の辻さんの思いから、月1回の竹細工やポン菓子づくりといった体験型イベントが行われています。

また、取材日は、以前この地域でこども食堂を営んでいた方が、手作りのおでんを差し入れてくれました。小学生や高校生も参加し、炊き立てのご飯を80個近い海苔巻きおにぎりにして提供。「みんなで一緒に作ったから、一層おいしいね!」という声も聞かれ、和やかな雰囲気に包まれました。こうした活動を通じて、多くの地域住民との対話が生まれる場となっています。

さらに、直方市で特定非営利活動法人mixjamが主催する、商店街での仕事体験プロジェクトでは、こどもたちが商品を準備し、販売を通じて経済活動を体験することができます。取材した当日、小学4年生の男の子が、次の日曜日に予定されているせんべいの販売に向けて、「どんな味付けが一番おいしいかな?」と、何度もせんべいの味付けの試作を重ねる姿が印象的でした。辻さんは「自分のお店を持つというのは、こどもたちにとって大きな挑戦です」と話します。

活動の背景

辻さんは、「いろりこども食堂は、古民家の再生から始まりました。最初は『居場所を作る』という小さな目標でしたが、今では地域の課題解決に向けた大きな活動になっています」と語ります。

活動を始めたきっかけは、保育士としての経験から得た「こどもたちが学びながら安心して過ごせる場所が必要だ」という思いでした。「学校や家庭以外にも、ホッとできる『第三の居場所』があれば、こどもたちの未来がもっと豊かになる」と話します。そして、いろりこども食堂を通じて、その思いを実現したいと考えています。

参加者の声

(保護者)
「ここに来ると、こどもが本当に楽しそうにしています。安心して預けられる場所があるというのは、親としてありがたいです。特に、食事が美味しくて、親子ともに癒されます」

(小学4年生 男の子)
「今度の日曜日に、商店街でせんべいを販売する予定です。今日はその練習で、どんな味付けがいいか考えながら作りました。おいしいって言ってもらえるように、頑張りたいです!」

(高校1年生ボランティア)
「地域のこどもたちと関わる中で、自分自身も学ぶことがたくさんありました。いろりこども食堂は、私にとっても大切な場所です。ここでの経験を通じて、将来はこどもたちの役に立つ仕事がしたいと思うようになりました」

これからのこと

辻さんは、これまで続けてきた「こどもの居場所」の取り組みを起点に、すべてのこどもたちが自分らしく安心して育つ環境を作るための仕組みをさらに充実させていきます。

例えば、フリースクール・おやこひろば・訪問支援・アウトリーチとしてのプレーパーク、そして、コーディネーターの養成など、多岐にわたる活動で、こどもたちが学び成長できる機会を提供したいと考えています。

「こどもまんなか社会」に向けて

辻さんは、「すべてのこどもたちが、安心して生きていける社会になったらいいなというのは、私がずっと思い続けていることです。経済的な困難や病気・障がいの有無がこどもたちの人生の妨げにならないような、こどもたちを真ん中に据えた社会を実現するために、大人全体が一丸となって支え合う必要があると感じています。『子育てはみんなでシェアする』という意識が広がり、得意な人がその力を発揮してこどもを支える仕組みができれば、より良い社会になると信じています」と話してくれました。

 

こどもの居場所いろり

ホームページ
https://mixjam-inclusive.com/

インスタグラム
https://www.instagram.com/mixjam.irori/

(取材日:2024年12月13日)

スポーツを通じた多世代交流で家族や子育てをイメージ!「みんなでトライ!ふれあいラグビー」

具体的な活動内容

このイベントの特徴は、チームを一つの家族(Family)に見立てて、年齢の垣根を越えて一緒に体を動かしながら交流することです。6~7名で構成される各チームには、幼児とその保護者、小中高生がバランスよく配置されています。

まずは、みんなで準備運動。屋根付きの広々とした芝生広場で、思いっきり体を動かします。

次に、チーム(Family)名を話し合います。みんな好きなものなど思い思いの個性的な名前を付けて、元気に発表してくれました。

チームの名前が決まったら、いよいよプログラム開始。タグを使ったゲーム、ボール運びやパス練習など、チーム一丸となって運動プログラムに挑戦。みんなで協力しながら、ミッションをクリアしていきます。最初は、人見知りしていた子もいましたが、プログラムを重ねる中で、打ち解け、笑顔でふれあっていました。

イベントの最後には、ルリーロ福岡の選手によるラグビーのデモンストレーションも行われ、その迫力に参加者たちから大きな歓声が沸き上がり、熱気に包まれた、みんなで感動を共有する時間になりました。

活動の背景

現代社会では、こどもたちの異年齢交流の機会が減少傾向にあります。こうした背景から、本イベントは、スポーツ活動を通じて自然な形で世代間交流を促し、こどもたちに、家族や子育てについてイメージできる機会を提供しようと企画しました。

また、ラグビーというチームスポーツを選んだことで、協力し合う大切さも学べる機会となりました。

参加者の声

(幼児・小学生の声)
「中学生や高校生のお兄ちゃん・お姉ちゃんと遊ぶことが楽しかった」
「ボールを使った遊びが面白かった。普段はできない経験ができた」

(中高生の声)
「小さいこどもたちと触れ合うことが、普段なかなかないから、とても楽しかったです」
「走ったり遊んだりして、すごく楽しかったです。ラグビーの選手もかっこよかったけど、やっぱり小さいこどもと遊んで楽しかったです」
「こういうイベントがもっと増えたらいいなと思いました。地域のためにもなるし、みんなで楽しめるから良いですよね」

(保護者の声)
「なかなかこどもと一緒に過ごす土日って少なくて、今日は一緒に走ったりして、とても楽しかったです。筋肉痛になるかもしれない(笑)」
「一生懸命走るこどもの姿が印象的だった」

これからのこと

福岡県では、次世代の親となる若い世代が将来の家庭や子育てについて考える機会を提供するため、今後も、中高生を対象とした直接的な乳幼児とのふれあい体験の実施を促進します。

(取材日:2024年11月30日)

ページトップへ