2026.10.28
ぴーす子ども食堂
#居場所づくり・こども食堂 #こども・子育て応援 #体験型等こどもの育ち応援
- ■活動名
- ぴーす子ども食堂
- ■団体名
- ぴーす子ども食堂・保育ルーム Piecehouse(ピースハウス)
- ■エリア
- 福岡市ほか
福岡市中央区桜坂の「ぴーす子ども食堂」は、福岡県内でも珍しい学校へ行く前のこどもたちに朝ごはんを提供する、朝のこども食堂です。未就学児が通う保育ルームPiecehouseを活用し、毎月第2・第4火曜日に開かれています。
栄養士が考えた朝食を、地域の人やボランティアと一緒に囲み、小学生や中学生のこどもたちが学年を越えて過ごします。食事を終えると、「行ってきます」と声を掛け合い、友達と一緒に学校へ向かいます。
朝食の提供に加え、こどもたちが地域の人と顔を合わせられる大切な「朝の居場所」となっています。
具体的な活動内容
ぴーす子ども食堂は、保育ルームPiecehouseを会場に、毎月第2・第4火曜日の朝に開かれています。開催日には、スタッフやボランティアが6時30分頃から調理や会場の準備を始め、7時を過ぎると、小学生や中学生のこどもたちが次々とやって来ます。
こどもたちは「おはよう」と声を掛け合いながら食卓を囲み、友達との会話を楽しみながら朝ごはんを食べます。
朝ごはんを終えると、こどもたちは笑顔で手を振ったり、元気よく駆け出したりしながら、それぞれの学校へ向かっていきます。
利用料は、幼児無料、小学生60円、中高生100円、大人200円です。小学生は300円で6回利用できるチケット制で、購入したチケットは運営側が預かっています。そのため、こどもが行くたびに現金を持参する必要がなく、こどもたちが利用しやすい工夫をしています。
月2回の開催日を「火曜日の楽しみ」にしている子もいれば、片道30〜40分ほどの道のりを歩いて通ってくる子もいます。代表の重信さんは、活動を続ける中で見られるこどもたちの様子について、「最初は緊張していた子も、少しずつ打ち解け、笑顔で話してくれるようになりました。友達同士で誘い合って来たり、一緒に学校へ行ったりする姿も見られます」と話しています。
食卓では、ほかのこどもがおいしそうに食べる様子を見て、普段は苦手な野菜に手を伸ばすこともあるといいます。
運営には、保育士や栄養士、農家、スクールソーシャルワーカー、地域の保護者などが関わっています。仕事へ向かう前に調理や片付けを手伝う人や、米や野菜を寄付してくれる人もいます。
「私たちも、朝からこどもたちに会うと元気をもらいます。ボランティアさん同士の会話も増えました。地域のことを話しながら、みんなでこどもたちを迎えています」と重信さんは話します。






活動の背景
未就学児向けの保育ルームとして2022年4月に「Piecehouse」は開設されました。保育所に入れない家庭や一時預かりを必要とする保護者を支えてきたこの場所が、「朝のこども食堂」を立ち上げるきっかけとなったのは、地域のこどもたちの「朝の過ごし方」の実態を知ったことでした。
設立者のひとりであるスタッフのちひろさんは、自身のこどもの小学校入学を機に周囲から話を聞く中で、十分に朝食を食べられていなかったり、一人で食事をしているこどもがいることを知りました。
また、ちひろさん自身、かつて娘と地域のこども食堂に通い、その温かさに救われた経験がありました。「引っ越してきたばかりの頃、娘にとって初めて自分に声をかけ、相手をしてくれる地域の人ができた大切な場所だったんです」。しかし、その食堂が閉鎖に追い込まれ、「行きたかった」と泣くこどもたちの姿を目の当たりにしたちひろさんは、「小学校に上がってからも、あんな安心できる居場所があれば」と感じていました。
一方、代表の重信さんも別の思いを抱えていました。未就学児を対象とするこの施設では、こどもたちが小学校へ入学すると同時につながりが途絶えてしまいます。「卒園したこどもたちと会えなくなるのは寂しいし、つながりがプツッと切れてしまうのが嫌だった。小学生になっても帰ってこられる『第2の家』のような地域の居場所を作りたい」と、以前から考えていました。
朝ごはんを必要としているこどもを支えたい、小学生になった後も帰ってこられる居場所をつくりたいという2人の思いが重なり、いよいよ準備が始まりました。
登校前の立ち寄りは、通学ルールの壁もありました。しかし、PTAや登校を見守る地域の方々を通じて丁寧に活動を伝え、少しずつ理解の輪を広げていきました。
準備期間は約2か月。2024年8月、2学期の登校が始まる日に、ぴーす子ども食堂はスタートしました。
こども食堂を朝に開くことにも、重信さんたちの思いがあります。
一つは、学校へ向かう流れをつくることです。夕方に開くと、こどもたちは居心地のよい場所から帰りたくなくなり、翌日の生活に影響することがあります。しかし、朝であれば、朝ごはんを食べた後に友達と一緒に学校へ向かうことができます。
重信さんは、「はじめは食堂に来ても、そのまま家へ帰ってしまう子もいました。でも、友達と一緒に過ごす中で、その流れのまま学校へ行く姿が見られるようになりました」と話します。
もう一つは、こどもたちの気持ちを整えることです。朝は保護者にとっても余裕を持ちにくい時間であり、「朝の出来事を、こどもはその日一日引きずることもある」といいます。
重信さんが「ここでは、家のようにリラックスして朝ごはんを食べ、地域の大人や友達と過ごしてから学校へ向かうことができます」と語るように、朝ごはんを提供するだけではなく、学校へ向かう前の気持ちを整えられる場をつくることも、朝に活動する理由の一つになっています。




参加者の声
(小学生)
「りんごとにんじんしりしりがおいしい。毎回参加している」
「友達と一緒に食べられることが楽しい」
(男性ボランティア)
「知人から活動を紹介されたことが参加したきっかけです。教育に興味があって、仕事がある日でも仕事の前に、調理や片付けを手伝っています」
(スクールソーシャルワーカー)
「こどもや保護者から、学校生活や子育てについて相談を受けることもあります。学校とは少し立場が違うから、素で話せることもあるようです。誰に話しやすいかはその子によって違うため、『ここの先生なら話しやすい』という子もいるのだと思います」
これからのこと
今後は、より多くのこどもたちに機会を届けるため、活動の拡大を目指しています。そのためにも、仲間づくりや広報を強化しながら、継続して取り組んでいきたいと考えており、活動を共にする仲間を増やしていきたいと語っています。


「こどもまんなか社会」に向けて
重信さんは「『こどもまんなか』なら、まずは今のこどもたちの実状を知ってもらいたい」と話します。
大勢で食事をすることが好きなこどももいれば、人が多い場所には入りにくいこどももいます。同じようなこども食堂が増えても、その場所に行きにくいこどもがいることにも目を向けなければなりません。
ぴーす子ども食堂では、一人ひとりの様子を見ながら、低学年と高学年で過ごす場所を分けるなど、それぞれが入りやすい環境を考えています。
「いろんなこどもがいる中で、いろんな居場所が必要だということを知ってほしいです。誰でも、どこにでも行ける子ばかりではありません。行きにくい子が、どうしたら行きやすくなるのかを考えないと、居場所は広がらないと思います」と重信さんは話し、こどもたちに対しても、「何も考えずに来て。待っているよ」と伝えられる、家のような場所でありたいと考えています。
こどもに居場所の形を当てはめるのではなく、そのこどもが安心して足を運べる場所を考えることが、「こどもまんなか」の居場所づくりにつながっています。


こどもの居場所マップ「ぴーす子ども食堂」
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(取材日:2026年7月14日)