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事業者
学校など

2026.02.13

特定非営利活動法人 円陣スペースエンジニアリングチーム(e-SET)

未来を拓く九州の「ものづくり」魂~こどもたちと共に宇宙を目指すe-SETの挑戦~

#体験型等こどもの育ち応援

■活動名
ネジから宇宙へ、こどもと未来をつなぐリアルなものづくり
■団体名
特定非営利活動法人 円陣スペースエンジニアリングチーム(e-SET)
■エリア
久留米市

特定非営利活動法人 円陣スペースエンジニアリングチーム(以下e-SET)は、2007年に久留米市およびその周辺地域に拠点を置く中小企業12社の有志により結成され、2012年にNPO法人化されました。
e-SETは、高度な技術力を活かしながら、小中高生にとどまらず、大学生や専門学校生などの「若者」までを含む未来を担う世代に、「宇宙は特別な世界じゃない」と感じてもらうため、技術体験や講演、大学連携プロジェクトを通して、宇宙産業を身近なものだと伝える地域に根差した教育・啓発活動を幅広く展開しています。

具体的な活動内容

学校での講演会(年2回程度)
地元の小学校などからの依頼を受け、代表の當房(とうぼう)睦仁さんが講師となり、講演を実施しています。この取り組みは「企業による無償の宇宙教育」として、教育現場でも注目を集めており、こどもたちは、人工衛星が地元企業によって作られていることに驚きと関心を寄せています。

宇宙のものづくり体験(久留米市青少年科学館)
久留米市青少年科学館で開催された体験イベントでは、人工衛星にも使われる技術を題材に、工具を使ってネジを加工する工程を体験する「ネジ切り体験」が特に人気を集めていました。こどもたちにとっては、「難しそうだけど、やってみたらできた!」という成功体験になり、ものづくりの面白さと達成感を味わえる貴重な機会となっています。

九州大学との連携プロジェクトとキャリア教育
九州大学の学生サークル「プラネット」と連携し、人工衛星やロケット部品の開発プロジェクトとして、衛星の設計方法などを学生と共に考えています。

また、大学生や専門学校生を対象にした「職場訪問・職場見学」や「キャリア教育等の講師派遣」を参加費無料で実施し、若者にとって“宇宙産業に関わる入り口”となるような環境を整え、現場で活躍する技術者から話を聞ける貴重な機会にもなっています。

こども体験フェスティバル(2025年8月20日)
福岡県青少年育成県民会議主催の「こども体験フェスティバル」では、e-SETが人工衛星に使われるネジや素材をテーマにしたこどもたちが楽しめる体験ブースを出展しました。ネジの役割を学ぶクイズや、ネジ切りを体験したり、人工衛星に使われる実際の素材を手に取りながら、「どの素材が一番重い?」「磁石にくっつくのはどれ?」といったクイズに挑戦していました。こどもたちは普段経験できない宇宙のものづくりに触れ、とても楽しそうでした。


當房さんは、「ロケットや人工衛星に使われる部品は、久留米の中小企業によって作られています。つまり、“宇宙”と“久留米”はつながっているんです。ネジを削るという一見地味な体験が、こどもたちにとって『宇宙の入り口』になってほしい」と話しています。

e-SETは、このような“身近な宇宙”との出会いを仕掛けています。こどもたちは、体験を通じて宇宙を「遠いもの」ではなく、「自分も関われる世界」だと実感するきっかけになっています。

活動の背景

団体発足のきっかけは、代表である當房さんが、2007年に九州大学で受けた地域産業講演会でした。講演では、「大企業や研究機関でなくとも、地方の企業が宇宙を支える存在になれる」という内容が語られました。その可能性に心を動かされた當房さんは、地元のモノづくり企業に声をかけ、同年、任意団体としてe-SETを結成しました。

その後、九州大学の先生方との出会いを通じて、「知識を持つ大学」と「ものづくりが得意な中小企業」という互いの強みがうまく噛み合い、産学連携による実践的なプロジェクトが本格化していきます。

當房さんは、長年、ものづくりの現場で人材不足を痛感してきました。だからこそ、「九州に魅力的な産業をつくり、若者が地元に残る選択肢を提供したい」という強い思いを抱くようになります。この想いは、こども向けのイベントや学校での講演活動といった教育・啓発活動に込められています。「こどもたちが幼い頃から宇宙技術に触れることで、宇宙は特別ではなく、誰もが関われる分野であると感じてもらいたい」という當房さんの原体験と地元への想いが、現在のe-SETの活動を根底から支えています。

参加者の声

(こども体験フェスティバル参加者)
「面白かったけど難しかった」 
「アルミの削りかすが硬かった」
「難しかったけど、ネジのことが少しわかった」

(e-SETに参加している企業のひと)
「こどもたちに少しでも宇宙を身近に感じてほしい」

これからのこと

e-SETはこれからも、こどもたちに宇宙を「遠い夢」ではなく、「自分の未来に関わるリアルな世界」として感じてもらえる体験の場を広げていきます。
當房さんは、「『こうやって宇宙に関われるんだ』『地元からでも宇宙に近づけるんだ』と思ってもらえるよう、科学館や学校での体験イベントや講演会を継続したい」と語ります。とくに、ネジ切り体験や素材展示などを通じて、久留米と宇宙がつながっている実感を持ってもらいたいと考えています。

さらに、今後は、大学生や専門学校生と連携し、中高生が年齢の近い先輩と接点を持てるような機会づくりにも取り組む予定です。産学連携のプロジェクトにふれることで、こどもたちが自身の進路をよりリアルに描けるよう後押ししていきます。

「こどもまんなか社会」に向けて

e-SETが描く「こどもまんなか社会」とは、大人とこどもが共に関わり合い、学び合える社会です。當房さんは、「こどもの体験の場には、たいてい親がいます。だからこそ、大人も一緒に“やってみよう”と思える仕組みが大切です」と語ります。

多くの体験は、保護者の「こんな体験をさせたい」という思いから始まります。e-SETは、その働きかけがこどもの興味を引き出し、学びの芽を育てると考えています。

こどもたちが宇宙を「特別な世界」ではなく、自分の未来に関わるものとしてとらえ、自らの意志で進路を選んでいけること。當房さんは、そんな社会の実現こそが「こどもまんなか」だと信じています。

NPO法人 円陣スペースエンジニアリングチームインスタグラム

(取材日:2025年6月10日・8月20日)

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